ねぇ…好き。

街がカラフルなイルミネーションで光り輝きだすクリスマスを直前に控えた頃……。


「うっ、さむ!今日も冷えるね」


「ああ。ハンパねぇ寒さだな」


いつものように一緒に大学を出て…あたしとケイは肩を並べて帰っていた。


いつからそれが日課のようになったかは、はっきりと覚えていない。


うーん。もう今年の夏休みの前には、2人で一緒に帰っていたような…気もするし。


それぐらい自然と2人で一緒にいるようになっていた。


あたし…桜木優奈(さくらぎゆな)と今、その隣を歩いているケイは


R大学の応用生物学部の3年生。


同じゼミで一緒に研究をするようになったのが親しくなったキッカケ。


あたし達はいつも実験のせいで帰りが遅くなるのがお決まりで。


ケイは毎日こんなふうにあたしをマンションまで送ってくれている。


ちなみにケイとあたしのマンションは決して近い距離とは言えない。


どんなに早歩きしても…30分以上は離れていると思う。


───なのに、ケイは……
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