有罪愛
(お母さんがこの人に頼りたくなる気持ちは分かる。私だってお父さんを喪ってつらいし、側にいて甘えさせてくれる人がいたら、頼ってしまうと思う。……でも)
だがどう考えても、岩淵は常識的な人ではない。
良識ある男性は、年頃の娘がいる家庭に入り浸らない。
母との将来を考えているとしても、こんな人が義父になるなどあり得ない。
(まして、十九歳の娘の部屋に来て、何をしようって言うの?)
考えている間、岩淵はベッドの上で強張った顔をしている春佳の前に立つ。
傍に立たれるだけで酒臭く、彼の体臭と香水の匂いも相まって、具合が悪くなるような悪臭が鼻をつく。
「……警察を呼びますよ」
「民事不介入っていう言葉を知ってる?」
微かに軋んだ音を立て、岩淵が片膝をベッドについた。
彼は目尻に皺を寄せ、垂れた目をさらに細くさせてニタァ……と笑った。
「初めて見た時から可愛いと思っていたんだ。涼子さんも美人だけど、春佳ちゃんは若くて可愛いね。好きな物があったら買ってあげるし、もっとお洒落な服を沢山買ってあげよう。今の子ってへそ出しルックが流行ってるんでしょ? スイーツも化粧品も春佳ちゃんの望む物をあげるよ」
「……やだ……。……やめてください……っ」
ベッドに乗り上げた岩淵の陰で、春佳は必死に壁際に身を寄せる。
岩淵の横をすり抜けられないか様子を窺っているが、彼は酔っぱらって充血した目をしつつも、春佳の一挙手一投足を見逃さない雰囲気を醸し出している。
「母娘ともども可愛がってあげようね」
猫なで声で言われた時、悪寒が駆け抜け、春佳の中で何かが弾けた。
「いやぁっ!」
春佳は悲鳴を上げ、バッと岩淵の横をすり抜けて床に足を置いた。
だが物凄い力で腕を掴まれたかと思うと、放るようにベッドに戻された。
すぐに起き上がろうとするが、彼女の体の上に岩淵がのしかかる。
「気持ちいい事をするだけだから、いいだろぉ~」
先ほどまでの態度はどこかへ、岩淵は傲慢な支配欲を剥き出しにした。
「やめてっ! いやだっ!」
春佳は必死に脚をバタつかせ、抵抗する。
人に暴力をふるった事などないし、何かから力一杯逃げようとした事もない。
生まれて初めてレイプされかけ、春佳の頭の中は混乱と恐怖とで真っ白になっていた。
――臭い。痛い。力が強い。
――嫌だ。なんでこんなおじさんに……。
――どうしてこうなるの? ただでさえお父さんを喪って不幸のどん底にいるのに。
――お母さんの理不尽な要求にも耐え続けて、いい子で生きてきたはずなのに。
――どうして私ばっかりこんな目に遭うの!?
全力で岩淵に抵抗している間、彼の爪がかすって春佳の顔に傷を作った。
腕も脚も乱暴に掴まれ、押さえつけられ、心と体が悲鳴を上げている。
「んんんっ、――――あぁあああっ!」
渾身の力で男の体を押し戻そうとしたが、体勢的に不利だ。
「大人しくしろっ!」
とうとう、業を煮やした岩淵が怒声を上げ、春佳の頬を厚い掌で叩いてきた。
「うぐっ」
顔全体に強い衝撃が加わったように思え、口内で変な味が広がった。
春佳が怯んだその一瞬に、岩淵は少女を殴った嗜虐的な喜びに表情を彩らせた。
「あぁ、可愛いなぁ。春佳ちゃん、可愛いなぁ」
彼は何かに取り憑かれたかのように「可愛い」を繰り返し、春佳を叩いてはその反応を見て、喜色の籠もった笑みを浮かべる。
「やめ……っ、うっ、――――うぅっ」
こんな男に屈服したくないと思うものの、春佳は痛みにまったく耐性がなかった。
叩かれる頬が熱くなり、醜く腫れ上がったように感じられる。
逆らう気力を失って脱力した頃、彼女は頬を腫らし、鼻血を垂らして唇も切っていた。
何度も叩かれて耳が遠くなり、すべての音がボワボワと不明瞭に聞こえる。
「手間とらせやがって」
悪辣に笑った岩淵は、力任せに春佳のパジャマの襟元を引っ張った。
途端、ボタンがはじけ飛び、室内の照明を受けてキャンディのようにまろく光る。
ぐったりとした春佳は、宙に飛ぶボタンをぼんやりと見るしかできなかった。
晒された若い乳房に、岩淵の節くれ立った太く短い指が食い込む。
生まれて初めて男性に胸を揉まれたが、痛みと屈辱しか感じない。
(おっぱいを揉まれてもちっとも気持ちよくない。世の中の人はこんな事をして喜んでるの? 馬鹿みたい)
茫洋とした視界の中、岩淵が下卑た笑みを浮かべて、自分の服を脱がそうとしているのが見える。
ニタニタと笑って唇には涎を滲ませ、まるで悪魔のようだ。
同時に、自分は〝強者〟に対して何も抵抗できない〝弱者〟なのだと痛感した。
処女を大切に守ってきた訳ではない。
好きな人すらいないから、処女の貴重性などほぼ意識していない。
そもそも、自分が性行為をするなんて想像もしなかった。
ただ、いつかするのなら、似た年齢の若い男性だろうと思っていた。
――なのに、どうしてこんなクソジジイに。
逆らえばまた叩かれるし、痛い思いはしたくない。
セックスをするのにどれぐらい時間が必要なのか分からないが、我慢していればそのうち終わるだろう。
「へへっ……、綺麗だなぁ。春佳ちゃん」
完全に全裸にされ、岩淵も服をすべて脱いだ時だった――。
何かが視界に入り込んだかと思うと、ドスーンッと大きな音を立てて岩淵がベッドから落ちた。
そのあと、岩淵が物凄い悲鳴を上げ、鈍い音が立て続けに聞こえる。
だがどう考えても、岩淵は常識的な人ではない。
良識ある男性は、年頃の娘がいる家庭に入り浸らない。
母との将来を考えているとしても、こんな人が義父になるなどあり得ない。
(まして、十九歳の娘の部屋に来て、何をしようって言うの?)
考えている間、岩淵はベッドの上で強張った顔をしている春佳の前に立つ。
傍に立たれるだけで酒臭く、彼の体臭と香水の匂いも相まって、具合が悪くなるような悪臭が鼻をつく。
「……警察を呼びますよ」
「民事不介入っていう言葉を知ってる?」
微かに軋んだ音を立て、岩淵が片膝をベッドについた。
彼は目尻に皺を寄せ、垂れた目をさらに細くさせてニタァ……と笑った。
「初めて見た時から可愛いと思っていたんだ。涼子さんも美人だけど、春佳ちゃんは若くて可愛いね。好きな物があったら買ってあげるし、もっとお洒落な服を沢山買ってあげよう。今の子ってへそ出しルックが流行ってるんでしょ? スイーツも化粧品も春佳ちゃんの望む物をあげるよ」
「……やだ……。……やめてください……っ」
ベッドに乗り上げた岩淵の陰で、春佳は必死に壁際に身を寄せる。
岩淵の横をすり抜けられないか様子を窺っているが、彼は酔っぱらって充血した目をしつつも、春佳の一挙手一投足を見逃さない雰囲気を醸し出している。
「母娘ともども可愛がってあげようね」
猫なで声で言われた時、悪寒が駆け抜け、春佳の中で何かが弾けた。
「いやぁっ!」
春佳は悲鳴を上げ、バッと岩淵の横をすり抜けて床に足を置いた。
だが物凄い力で腕を掴まれたかと思うと、放るようにベッドに戻された。
すぐに起き上がろうとするが、彼女の体の上に岩淵がのしかかる。
「気持ちいい事をするだけだから、いいだろぉ~」
先ほどまでの態度はどこかへ、岩淵は傲慢な支配欲を剥き出しにした。
「やめてっ! いやだっ!」
春佳は必死に脚をバタつかせ、抵抗する。
人に暴力をふるった事などないし、何かから力一杯逃げようとした事もない。
生まれて初めてレイプされかけ、春佳の頭の中は混乱と恐怖とで真っ白になっていた。
――臭い。痛い。力が強い。
――嫌だ。なんでこんなおじさんに……。
――どうしてこうなるの? ただでさえお父さんを喪って不幸のどん底にいるのに。
――お母さんの理不尽な要求にも耐え続けて、いい子で生きてきたはずなのに。
――どうして私ばっかりこんな目に遭うの!?
全力で岩淵に抵抗している間、彼の爪がかすって春佳の顔に傷を作った。
腕も脚も乱暴に掴まれ、押さえつけられ、心と体が悲鳴を上げている。
「んんんっ、――――あぁあああっ!」
渾身の力で男の体を押し戻そうとしたが、体勢的に不利だ。
「大人しくしろっ!」
とうとう、業を煮やした岩淵が怒声を上げ、春佳の頬を厚い掌で叩いてきた。
「うぐっ」
顔全体に強い衝撃が加わったように思え、口内で変な味が広がった。
春佳が怯んだその一瞬に、岩淵は少女を殴った嗜虐的な喜びに表情を彩らせた。
「あぁ、可愛いなぁ。春佳ちゃん、可愛いなぁ」
彼は何かに取り憑かれたかのように「可愛い」を繰り返し、春佳を叩いてはその反応を見て、喜色の籠もった笑みを浮かべる。
「やめ……っ、うっ、――――うぅっ」
こんな男に屈服したくないと思うものの、春佳は痛みにまったく耐性がなかった。
叩かれる頬が熱くなり、醜く腫れ上がったように感じられる。
逆らう気力を失って脱力した頃、彼女は頬を腫らし、鼻血を垂らして唇も切っていた。
何度も叩かれて耳が遠くなり、すべての音がボワボワと不明瞭に聞こえる。
「手間とらせやがって」
悪辣に笑った岩淵は、力任せに春佳のパジャマの襟元を引っ張った。
途端、ボタンがはじけ飛び、室内の照明を受けてキャンディのようにまろく光る。
ぐったりとした春佳は、宙に飛ぶボタンをぼんやりと見るしかできなかった。
晒された若い乳房に、岩淵の節くれ立った太く短い指が食い込む。
生まれて初めて男性に胸を揉まれたが、痛みと屈辱しか感じない。
(おっぱいを揉まれてもちっとも気持ちよくない。世の中の人はこんな事をして喜んでるの? 馬鹿みたい)
茫洋とした視界の中、岩淵が下卑た笑みを浮かべて、自分の服を脱がそうとしているのが見える。
ニタニタと笑って唇には涎を滲ませ、まるで悪魔のようだ。
同時に、自分は〝強者〟に対して何も抵抗できない〝弱者〟なのだと痛感した。
処女を大切に守ってきた訳ではない。
好きな人すらいないから、処女の貴重性などほぼ意識していない。
そもそも、自分が性行為をするなんて想像もしなかった。
ただ、いつかするのなら、似た年齢の若い男性だろうと思っていた。
――なのに、どうしてこんなクソジジイに。
逆らえばまた叩かれるし、痛い思いはしたくない。
セックスをするのにどれぐらい時間が必要なのか分からないが、我慢していればそのうち終わるだろう。
「へへっ……、綺麗だなぁ。春佳ちゃん」
完全に全裸にされ、岩淵も服をすべて脱いだ時だった――。
何かが視界に入り込んだかと思うと、ドスーンッと大きな音を立てて岩淵がベッドから落ちた。
そのあと、岩淵が物凄い悲鳴を上げ、鈍い音が立て続けに聞こえる。