シャボン玉。シャボン玉
 キラキラと輝く日差しの中、童心にかえり、シャボン玉を浮かべてみよう。

 ストローの先に、みずみずしく光る。「シャボン玉」
 私から離れるとその子は、戸惑うように宙を浮んでいた。

 数多くの子が浮かび、キラキラと周りを映し出し浮かぶ、シャボン玉。
 その映り込む輝きの中には、いくつもの私の人生が生きていた。

 小学生の入学式。嫌々行った、習い事。我儘を言ったあの日。
 初恋のあの人。受験で苦しんだ過去。真剣に取り組んだ就職活動。
 いろいろな場面が写り、壊れて消える。

「風っ風ぇ吹くな。シャボン玉、飛ばそ♪」

(そうよ! もっと大きなシャボン玉)
 それは夢。希望と言うなのシャボン玉。

 私は大事なシャボン玉に、丁寧に息を吹きかけた。
 それはどんどん大きく膨らんでいく、辛いことを忘れ、嫌な仕事も忘れ、明日という生きがいに優しく優しく吹きかけた。

 出来上がったシャボン玉は、私を包むと『フワッ』浮かび、夢の世界に連れて行く。
 遥か彼方の、青空の世界に。

 雲を越え、虹を渡り、私はシャボン玉に乗り世界を駆け巡った。
 ジャングルのライオンに手を振り、エジプトのスフィンクスと知恵くらべ、パリのエッフェル塔で一休み。

 世界の全てが宝のように感じると、人生なんて『……意外に悪くない……』と思ってしまった。

 ほんの少しだけ、足元を見つめている。
「だったら」と、今度は強く、息を吹きかけシャボン玉を飛ばす。

 小さく。本当に小さな数多くのシャボン玉が生まれると、そこには私のこれからの人生。未来が映っていた。

 仕事での評価。意外なところに、没頭できる趣味が転がっていた。友人との出会い。
 そして、未来のパートナー。

 私はそれらを見つめ、自分でも驚かされている。

 私にはそれが、「今まで壊れて消えなかったのだから、今からでも、舞うことができるよ」と、語ってくれているようだった。

(なんだ。難しく考えすぎてた。まだ、これからなんだ)
 
 そして私にだけ輝く、とても綺麗なシャボン玉を作り出した。

「風っ風ぇ吹くな。シャボン玉、飛ばそ♪」


 おわり。

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