甘い煙に、初恋を。~汚れた俺が、真っ白な君に堕ちるまで~

1.夜の毒と白の純真

金曜の深夜。歓楽街の裏通りは、吐き気がするほど欲とアルコールの匂いに満ちている。俺は壁に寄りかかり予想外の言葉に、心臓の奥がドクンと跳ねた。
汚してやりたいと思っていたその瞳に、俺の醜い中身を暴かれた気がした。

「……チッ。うるせぇよ、ガキが」

俺は彼女の手首を強引に掴むと、駅とは反対方向の、さらに暗い路地裏へと引き寄せた。

「ちょっと、何するんですか……っ」

「黙ってついてこい。……お前に、もっといい『薬』を教えてやるよ」

俺は彼女の耳元で低く囁き、わざとらしく熱い吐息を吹きかけた。怯える彼女を離さないまま、俺の口角は、自分でも制御できないほど歪に吊り上がっていた。

結局、俺は彼女を駅まで送り届けた。……ただ、真っ直ぐ帰すのが癪だっただけだ。

改札の前で、俺は愛用の、傷だらけのジッポを彼女の手に押し付けた。

「それ、俺の命の次に大事なもんだ。返してほしけりゃ、またここに来い。俺は蓮。……お前の名前は?」

「……澪漢字(みお)です」

それが、俺たちの歪な始まりだった。俺は確信していた。彼女は必ず、この「毒」を返しに来る。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

サヨナラは、向日葵の香りがした。

総文字数/8,430

恋愛(純愛)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
君がいなくなるまで、あと49日。 神様がくれた、残酷で優しいロスタイム。
表紙を見る 表紙を閉じる
「君の初めても、最後も、俺が買い占める」 超絶セレブな学園の頂点に君臨する 冷徹な銀髪王子・一条蓮様。 でも、庶民の私と二人きりになると……。 この独占欲、重すぎて甘すぎて もう逃げられない――!?
狂犬な彼は、図書室で私だけを甘く噛む。

総文字数/5,178

恋愛(キケン・ダーク)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
クラスで一番目立たない私が、 最恐の不良に見つかってしまった——。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop