終わりから始まる恋を、君と
第四章 交錯する想い
そして、ある日の夜。

雫はルカに手を引かれ、家の外へと連れ出されていた。

夜の森。

闇に沈んだ木々の間を、僅かな月明かりが淡く照らしている。

ルカが雫を夜の森に連れ出すのは――とても、珍しいことだった。

いつもなら、「危ねぇから」と一言で終わる。

それなのに今日は、珍しく――

「……ちょっと、出ねえか?」

そう言って、ルカの方から誘ってきたのだ。

雫は少し不思議な気持ちのまま、隣を歩くルカの横顔を、

そっと盗み見る。

月の光を受けたその横顔は、やっぱり綺麗だった。

怖いくらいに整った輪郭。

夜に溶けるような、淡い色の髪。

けれど雫が一番好きなのは――

その表情がふっと緩む瞬間だった。

無防備にふにゃっと笑う。

まるで、普通の男の子みたいな顔。

(……好きだなぁ)

胸の奥で、小さく呟く。
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