極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 玩具売り場へ着くなり、希海のテンションは最高潮になる。

「あっ! これほしい! こっちもあるー! ういちゃんみてみて!」

 あちこち駆け回りながら次々とおもちゃを手に取っていく希海。

 どうやら目に入るもの全てが魅力的に見えるらしい。

「ういちゃんとあそびたい! どれにする?」

 真剣な顔で聞かれた羽衣子は少し困ったように笑った。

「ええっと……そうだねぇ……」

 そして、そう返しながらも内心悩んでいた。

(お家に玩具は沢山あったよね……)

 既に十分過ぎる程持っていることから、ここで更に際限なく買い与えてしまっていいのだろうかと思ったのだ。

 そんな羽衣子の心配をよそに、希海は両手いっぱいに玩具を抱え始めていた。

「これも! あとこれも!」

 すると昴は、ごく自然な口調で言った。

「欲しい物は全部買うから、さっさと持ってきなさい」

 そんなあまりにも迷いのない言葉に、羽衣子は思わず目を瞬かせた後で反射的に口を開いてしまう。

「あ、あの……玩具はお家に沢山ありますし……せめて、一つに絞らせた方がいいかなって……思うんですけど……」

 言った瞬間、羽衣子ははっと息を呑んだ。

 家族でもないのに他人という立場のくせに、子育てのやり方へ口を出すなんてと。

「す、すみません! 出過ぎた真似を……!」

 慌てて頭を下げる羽衣子に昴は意外そうに目を瞬かせた後、ふっと苦笑した。

「いえ……そうですよね」
「……え?」
「何でも買い与えるのは、希海の為にも良くない」

 そう呟きながら昴は少し困ったように眉を下げる。

「すみません。泣かれたり駄々をこねられたりするのが面倒で……つい、いつもこうやって買ってしまうんです」

 その声音には本気で反省している色が滲んでいた。

 そんな昴の態度を前に羽衣子は思わずきょとんとする。

 普通、自分のやり方を否定されれば不機嫌になるのかと思っていただけに、まさか素直に自分の非を認めて受け入れられるとは思わなかったのだ。

「希海、その中から一つだけ、一番欲しい物を選びなさい」
「え……」
「希海くん。一緒に選ぼっか。ね?」
「うん、わかった」

 一瞬不満そうな顔をしたものの、大好きな羽衣子と一緒に選べるならと納得したようで、二人で沢山の玩具の中から一つを決めていった。
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