黒の王と白の姫

 この魔女は先王に恋をし、王妃を呪い殺したのだ。

 そして先王が亡くなってしまったあと、息子であるノワールに同じ道を歩ませようとしている。

「なんて事を!」

 私が叫んだ瞬間、ノワールは地を這うような低い声で告げた。

「頭を冷やせ」

 彼はカッと目を見開くと、氷の剣に魔力を込め、魔女をを氷柱に封印する。

「…………はぁ……っ」

 私は止めていた息を吐き、安堵して脱力する。

 ノワールはそんな私を支え、笑いかけてきた。

「せっかく嫁いでくれたのに、不快な思いをさせてすまない。助けてくれてありがとう」

 記憶のままの彼が戻ってきて、私はクシャッと笑うと涙を零した。

「いいえ、どういたしまして」

 微笑み合った私たちは、呪いを解くためではない、本当のキスをした。



 私たちが気持ちを込めたキスをしている間、窓の外では春一番のような強い風が吹き、闇に包まれていたアクトゥール王国を光に塗り替えていく。

 空からはキラキラと雪のように光の粒子が舞い、それに触れたものはもとの色を取り戻していった。

 人々が着ていた黒い服は色鮮やかな服に代わり、どんよりと落ち込んでいた表情に活力と笑顔が戻る。




 その後、私たちは皆に祝福され、盛大な結婚式を挙げた。

 大聖堂を出た私たちは、馬車に乗って花びらが舞い散るなか民衆に手を振る。

「〝白の王妃〟ばんざい!」

 誰かが叫び、皆が拍手をして同様に私を呼ぶ。



 かつて〝白の姫〟と呼ばれていた私は〝白の王妃〟と呼称を変え、国を救った恩人として貴族たちや民から支持を集めたのだった。



 完
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
画像は「簡単表紙メーカー」で作製し、自分で少し手を加えました
ホンネとタテマエ
臣桜/著

総文字数/4,190

恋愛(純愛)2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
※ 表紙は「かんたん表紙メーカー」で製作しました。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop