遅かれ、早かれ、恋になりまして。

課長が小さく頷き、補足しようと資料に手を置く。そのタイミングで、部長の田島さんがゆっくりと口を開いた。


「全体としては非常に分かりやすいですね」


その一言で、少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。けれど同時に、有馬さんの表情が見えないことが、逆に気になってしまう。評価されているのか、それともまだ何か考えているのか。


「ただ一点だけ、全体のトーンとしては問題ないですが……実際の意思決定層に刺すには、もう一段だけ導入後の成果の具体性があると良いかもしれませんね」


田島さんの指摘を受けて、私は一度だけ資料をめくり直す。頭の中で修正ポイントを整理しながら、「ありがとうございます。ご指摘の通り、成果部分の具体性については補足資料として追加させていただきます」と答えた。

課長が軽く頷き、空気がまた少しだけ落ち着く。


「では全体としては、一度持ち帰り検討という形でよろしいでしょうか」


田島さんの言葉に、私は「はい」と返す。
ここまでの反応は悪くない。むしろ想定よりスムーズだった。会議はもう終盤だ。まとめに入る流れだった。


「では最後に、スケジュールと今後の進行について簡単に共有いたします」


課長がそう言って、次の資料を開く。私は少しだけ肩の力を抜いて、その説明を聞きながら視線を前に戻した。

終わる。そう思った瞬間だった。
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