近くにいるための嘘

36話 友達

「橋本莉子です」
「好きな食べ物はパンです」
「オススメのパン屋教えてくださーい」
「よろしくお願いします」

前の金髪の女の子の自己紹介が終わる。

「藤野美桜です」

顔を上げると、YUTAROくんがこっちを見ている。
頭が真っ白になる。

「……よろしくお願いします」

私には、言えるような趣味も特技も無い。
つくづく、自分ってつまらないと思う。

「藤原拓海です」
「出身は神戸で、趣味はバスケです」
「よろしくお願いします」

……YUTAROくんと出身一緒だ。

YUTAROくんのことを考えてるうちに、全員の自己紹介が終わる。
履修登録のことや、4月からの授業のこと、説明が終わって解散になる。

「ねえ、美桜って呼んでいい?」
前の席の金髪の子が声を掛けてくる。

「……うん、いいよ」
チラッと名簿を見て確認する。
「私も、莉子って呼んでいい?」

「いいよ。ねえ、一緒に履修登録しよ」
「説明、全然分かんなかった」

「うん、私も」

「じゃあ明日また学食でどう?」

「いいね、明日会おう」

LINEを交換する。

……友達、できちゃった。
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