好きになった人は、みんなのアイドルで 2
16話 そばにいる
とうとうこの日が来てしまった。
(……真面目な話。別れ話じゃないよね。)
例え別れ話だったとしても、笑顔で悠太郎くんの夢を応援するって決めていた。
トイレで化粧を直して前髪を整える。
(……怖い。)
少し息が浅くなる。
悠太郎くんの姿が見える。
心臓がいつもの倍の速さで脈を打つ。息が苦しい。
「お待たせ」
自分の息切れが異様なことに気付いて嘘をつく。
「ごめん、授業、長引いて……」
「走ってこなくても良かったのに。大丈夫、俺待ってるよ」
「ううん、早く会いたかったの」
……これはほんと。ふたつの意味で。
店に着いて注文を済ませると、
「どうかした?今日、元気無い?」
悠太郎くんに聞かれる。
「ううん、そんなことない。全然元気。」
つい元気なふりをしてしまう。
注文した料理が運ばれてくる。
我慢できなくて、口火を切る。
「……話って、なに?」
ふーっと悠太郎くんが息をつく。
「笑わないで聞いてほしいんだけど、俺、本気でアイドルなりたくて」
「うん」
(……それは知ってる。その先が問題。)
「俺、もっと頑張りたいんだ。デビューしたい」
「チャンスがあったら、いつでも全部掴みに行くつもり」
「だから……」
(……っ!別れてください、って続くんだ)
つい俯いて目を瞑る。
「会えない日とか増えちゃうかもしれないけど、ちょっと練習の日増やしたくて」
「あと、これはもしかしたらずっと先のことかもしれないけど、デビューすることになったら紬ちゃんのことも、苦しめちゃうかもしれなくて」
「それでも今の俺は、紬ちゃんとずっといたくて」
「……こんな俺だけど、いい?好きでいてくれる?」
……別れ話じゃ、なかった。
安心して涙が出る。
「え、ごめん、待って、なんで泣いてるの」
悠太郎くんが慌ててハンカチとティッシュをくれる。
「大好きだよ。ずっとそばにいる。」
気付いたらそう言っていた。
「うん、ありがとう。でもごめん、泣かせる気は無かった」
悠太郎くんがおろおろしているのがおかしい。
こんな姿、見たことない。
少し気が緩むと、また涙が出てくる。
「だって、別れ話だと思ってぇ……」
「なんで、ごめん、え?真面目な話って言ったから?」
「え、どうしようごめん、俺の言い方が悪かった」
「別れてって言われても、笑顔で分かったって言うつもりで、でも、嫌だったから……」
「別れたくなかったから……」
涙が止まらない。言葉も止まらない。
「ごめん、大好きだよ、紬ちゃん。ずっと一緒にいてください」
なにそれ、プロポーズみたいじゃん。
いつかほんとに、ほんとのプロポーズ、してね。
それまでずっと、私はそばにいるから。
そんなこと言えないから、代わりに「うん」って頷いた。
(……真面目な話。別れ話じゃないよね。)
例え別れ話だったとしても、笑顔で悠太郎くんの夢を応援するって決めていた。
トイレで化粧を直して前髪を整える。
(……怖い。)
少し息が浅くなる。
悠太郎くんの姿が見える。
心臓がいつもの倍の速さで脈を打つ。息が苦しい。
「お待たせ」
自分の息切れが異様なことに気付いて嘘をつく。
「ごめん、授業、長引いて……」
「走ってこなくても良かったのに。大丈夫、俺待ってるよ」
「ううん、早く会いたかったの」
……これはほんと。ふたつの意味で。
店に着いて注文を済ませると、
「どうかした?今日、元気無い?」
悠太郎くんに聞かれる。
「ううん、そんなことない。全然元気。」
つい元気なふりをしてしまう。
注文した料理が運ばれてくる。
我慢できなくて、口火を切る。
「……話って、なに?」
ふーっと悠太郎くんが息をつく。
「笑わないで聞いてほしいんだけど、俺、本気でアイドルなりたくて」
「うん」
(……それは知ってる。その先が問題。)
「俺、もっと頑張りたいんだ。デビューしたい」
「チャンスがあったら、いつでも全部掴みに行くつもり」
「だから……」
(……っ!別れてください、って続くんだ)
つい俯いて目を瞑る。
「会えない日とか増えちゃうかもしれないけど、ちょっと練習の日増やしたくて」
「あと、これはもしかしたらずっと先のことかもしれないけど、デビューすることになったら紬ちゃんのことも、苦しめちゃうかもしれなくて」
「それでも今の俺は、紬ちゃんとずっといたくて」
「……こんな俺だけど、いい?好きでいてくれる?」
……別れ話じゃ、なかった。
安心して涙が出る。
「え、ごめん、待って、なんで泣いてるの」
悠太郎くんが慌ててハンカチとティッシュをくれる。
「大好きだよ。ずっとそばにいる。」
気付いたらそう言っていた。
「うん、ありがとう。でもごめん、泣かせる気は無かった」
悠太郎くんがおろおろしているのがおかしい。
こんな姿、見たことない。
少し気が緩むと、また涙が出てくる。
「だって、別れ話だと思ってぇ……」
「なんで、ごめん、え?真面目な話って言ったから?」
「え、どうしようごめん、俺の言い方が悪かった」
「別れてって言われても、笑顔で分かったって言うつもりで、でも、嫌だったから……」
「別れたくなかったから……」
涙が止まらない。言葉も止まらない。
「ごめん、大好きだよ、紬ちゃん。ずっと一緒にいてください」
なにそれ、プロポーズみたいじゃん。
いつかほんとに、ほんとのプロポーズ、してね。
それまでずっと、私はそばにいるから。
そんなこと言えないから、代わりに「うん」って頷いた。