好きになった人は、みんなのアイドルで 2

35話 いちばん好きな私

「人をダメにするソファあるよ、どうぞ」
「お、じゃあダメになろ」
……ダメになるんだ。かわいい。

お茶を持っていくと、棚に飾っていた編みぐるみを悠太郎くんが指さす。
「ねえ、これかわいい。編んだの?」
「うん、編んだ」
「じゃあ、これも?……もしかしてこれも?」
ティッシュカバーと、ベッドカバーを指さす。
「うん、それも編んだ」
「……天才」
「褒めすぎだよ、よく見たら荒だらけだよ」

話しながら、悠太郎くんにあげようと思って実家で編んだものを思い出す。
「あ、そうだ、あげる」
「……ひよこ?」
小さなひよこの編みぐるみ。
「うん、悠太郎くん、ひよこプリンスなんでしょ?」
「……まじで、俺のこと調べるのやめて」
恥ずかしそうにしているけど、「かわいい」ってひよこを眺めている。

「ありがと」
「うん、今度はセーターとか編むね」
「まじ?編めるの?」
「編めるよ、時間かかるから今すぐは無理だけど」
「え、やばい、楽しみ」
「だから、どんな色が好きとか教えて?」
「……紬ちゃんが編んでくれたらどんなのでも着る」
「じゃあ、真ん中にひよこ編みこもうかな」
「ごめん、それは嫌かも」

本当に楽しい。
いつの間にか、悠太郎くんといる時の私が、いちばん好きな私になっていた。
< 35 / 100 >

この作品をシェア

pagetop