いじわる主治医は、私にだけ甘い
食事の後、慶人は自分の部屋に戻り、彩人と二人きりになった。

既に布団が並んで敷かれており、いつでも寝れるようになっている。

「なぁ、こっちにおいで」

「うん」

彩人は布団に入って、私を呼んだ。
私は浴衣から覗く彩人の胸板にドキドキしながら、布団に入っていった。

「あったかいな、冴……」

よしよしと撫でてくれる、彩人。

「彩人、怒ってない? 箱根に行くの断っておけばよかった?」

「ううん怒ってはないよ。嫉妬はしたけど。それに冴がいま手術前の大事な時期で、不安を抱えてることも気付いてた。だから慶人と話して少しでも心が晴れるならいいなと思ってたんだ」

「優しすぎるよ……」

「俺はそういうの、下手だからな。あいつなら冴の不安を消してくれるんじゃないかって」

「ううん、私は彩人がいい! 彩人がこうしてぎゅってしてくれると不安が消えるの」

ぎゅうと抱きしめ返す。
彩人から少しお酒やタバコの匂いがした。
彩人の匂い、甘くて切ない。

「愛してるよ、冴。だから俺が幸せにしたい」

彩人は私のことをじっと見つめる。

「私も、彩人を幸せにしたい」

目をつむると、甘くキスする。
そこから先は朝までずっと彩人の愛を受け止めた。
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