さよなら、未来を生きる君へ

テーブルの前で膝を抱えて俯いている富川(とみかわ)紗凪(さな)の近くに来ると、彼女は気配を感じたのか不意に頭を上げて俺を見た。

「……來生(らい)くん。来てくれたんだ。もう来てくれないかと思った」

見るからに元気ない顔に、力が入っていない声。

1週間前、会った時より少しやつれていた。

「ちゃんと、ご飯食べてるのかよ?」

そう尋ねると、紗凪は目を伏せた。

「……食欲湧かなくて」

「それでもご飯食わないとそのうち倒れるぞ。ただでさえ、痩せてるのに」

「明日からちゃんと食べるよ」

声には出さなかったものの、『本当かよ?』と疑ってしまう。

普段でさえ少食気味で腕も足も細いから、いつか倒れるんじゃないかって心配になる。

そこへ、ブーブーと鈍い音がなった。

テーブルに置いてあった紗凪のスマホの着信音だった。

真っ暗だった画面が一気に明るくなり通知が表示された。

俺が立っている場所からでも、メッセージははっきりと見えた。

【今度、一緒に飲みに行かない?】

あいつからのメッセージだった。

紗凪はスマホを手に取って通知を確認したものの、返事を送らないどころかそっとテーブルにスマホを置いた。

そして、ゆっくりとした動作で俺のほうを向いた。
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