経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
翌日。
「司君。おはようー。お待たせしましたー」
と、聞こえてきた声に振り返った。マスクをして顔が半分隠れているけれど、目だけで分かる。楽しそうににこにこしている女の子。大人しめなりに今時の格好はしている。
している。けれども。
黙ーってその彼女の顔を見ていた男は、やがてうっすら笑った。
「綾ちゃん? あれー? すっぴん?」
マスクをちょっと引っ張って確認して放したら、ぽんっと衝撃を受けた彼女はぎゅっと目を閉じる。辛うじてリップはしてるけれど、きっちりネイルと合わないくらいに見事なすっぴん。
「え? だって、今日は漫喫デーだから」
「うん? だから?」
「絶対泣くしっ」
「泣くから?」
「…え? 駄目? だった?」
おろおろ。と、マスクで目の際まで隠した綾音は、上目遣いで司を見上げた。
ここで状況を整理しよう。彼女は瀬戸綾音。彼は上野司。二人は同い年、同じ大学を卒業して同じ大手メーカーに就職した。綾音は総合職採用で広報部に配属され、司は職種別採用で経営企画部に配属されている。つまり昨日食堂でどこぞの先輩方が噂していた二人である。
「司君。おはようー。お待たせしましたー」
と、聞こえてきた声に振り返った。マスクをして顔が半分隠れているけれど、目だけで分かる。楽しそうににこにこしている女の子。大人しめなりに今時の格好はしている。
している。けれども。
黙ーってその彼女の顔を見ていた男は、やがてうっすら笑った。
「綾ちゃん? あれー? すっぴん?」
マスクをちょっと引っ張って確認して放したら、ぽんっと衝撃を受けた彼女はぎゅっと目を閉じる。辛うじてリップはしてるけれど、きっちりネイルと合わないくらいに見事なすっぴん。
「え? だって、今日は漫喫デーだから」
「うん? だから?」
「絶対泣くしっ」
「泣くから?」
「…え? 駄目? だった?」
おろおろ。と、マスクで目の際まで隠した綾音は、上目遣いで司を見上げた。
ここで状況を整理しよう。彼女は瀬戸綾音。彼は上野司。二人は同い年、同じ大学を卒業して同じ大手メーカーに就職した。綾音は総合職採用で広報部に配属され、司は職種別採用で経営企画部に配属されている。つまり昨日食堂でどこぞの先輩方が噂していた二人である。