経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「じゃあ、この紙ナプキンで良いか。はい」

「う、うん」

 一生の内、一度でもこんな緊張してファミレスの紙ナプキンを受け取ることがあるかね。と思いながら舞は綾音を見ていた。関係ないのにこっちまで緊張する。綾音はもっと緊張しているだろう。ペンを持つ手が震えるのか、書き掛けた手を少し振った。司はさらさらと書いている。可愛げがない。

「…書けた…」

「俺も」

「じゃあ…綾から」

 不安そうな顔を見ていられなくて、綾の手から紙を受け取る。二つの社名があった。どちらも日本を代表する大手メーカーだ。凄い。と、思わず顔に出てしまった。

「おめでとうー。綾、良かったねぇ! 部署は決まってるの?」

「総合職で内定貰ったんだけど、企画とマーケティング希望とは伝えてある…」

「そっかそっか!」

 ぽんぽんと肩を叩いて舞は頷く。就活前に色々あったからどうなることかと思っていたけれど安心した! とりあえず綾音は安泰だ。次は司…。

 そう思って気が付いた。司の紙を受け取る前に舞は呟く。

「…ねえ…」

「ん?」
< 49 / 154 >

この作品をシェア

pagetop