経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 一巻読み終わる頃には、綾音の目は真っ赤になっていた。休み休み読んでいたけれど、一度決壊した涙腺はなかなか戻らないようだ。

「面白い?」

「うん」

「俺も読んでみようかな」

 三十分待って、やっと一巻をゲット。表紙には「Logical Thinker」の文字。

「うん」

 と、ぐずぐず鼻を鳴らす綾音に笑ってしまう。

「何か飲む? 持ってくるよ」

 そう言ったら空のカップを見て、自分で行こうか迷ったらしく、でもこの顔では。と、観念した様子の綾音は「お願いします」と頭を下げた。
「面白かった」

 と、全部読み終えて綾音はご満悦に呟いた…後に鼻をかむ。デトックス効果はあったらしく、すっきりした顔をしている。

 因みに大分前に三巻を受け取った司は半分くらい消費していた。綾音は完読した後も暫くぐずぐずしていたので報告が遅れた次第。

 司の返事は求めてないらしく、次はどうしようかな。あと二十分もない。うーん。と、悩む綾音に司が言う。

「これ、映画化されてるって」

 開きっぱなしのパソコンを指さして教えると、綾音はご飯の音を聞きつけた子犬のようにはいはいで寄ってきた。

「へー。あ、ほんとだ。…サブの二人の話なんだね?」

「原作も大分前に映画化されてるみたいだけどね」

「ふーん。面白そうだね」

 でも、生憎ここでは見られない。個人的に契約できるサブスクしか対応していないようだ。あらすじだけでも見たいのか、マウスをかちかちする綾音に言った。

「俺、このサブスク契約してるから見られるよ。部屋来る?」

「え?」
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