この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!
あ、確かミーシャが魔物の見回りに行くとか言っていたわね。早朝から出かけて、戻ってきたのかしら。
彼らは馬から下りると城内に向かって歩いてきた。
十人ほどいるだろうか。皆背が高く、体格が良い。北部の人はたくましく、男女ともに背が高い印象を受けた。
それに比べて私の背はあまり伸びなかったわね……。
姉たちはスラリとしているが、私だけは低い背のままだった。
歩いている集団、その中でもひときわ目立つのがイザークだ。
銀髪に遠目でも整っているとわかる顔立ち。すらっと伸びた手足に厚い胸板。
隣にいる男性と仲が良いのか、談笑しているみたいだ。相手の胸を叩き、笑っている。
仲良くなると、あんな笑顔を見せるようになるのね。
昨夜の彼は眉をハの字にして困っているような顔か、眉をつり上げて怒っているかのどちらかだった。
笑顔は見ていない、まだ一度も。
私に対する態度も戸惑っているように見えたけど、警戒しているのだろうか。
窓辺からずっと見ていると、イザークとパチリと目が合った。
あ、気づかれてしまったわ。
どうすればいいのか迷ったが、にっこり微笑んで首を傾げた。
魔物の討伐隊の総指揮官として仕事をしてきたのだろう。労いの気持ちでゆっくりと手を振った。
イザークはその場でピタリと足を止めた。
反応するどころか遠目からでもわかるほど、険しい顔をしている。
そんなににらまれるなんて、手を振ったことを後悔した。
なれなれしくするな、って思っているのかしら。そうよね、部下の手前、気安い態度を取って図々しかったかしら。
足を止めて私をジッとにらむ姿は威嚇しているようだ。
オズオズと手を下げようとした時、イザークの隣を歩いていた男性が顔を上げ、私に気づいた。さきほどイザークと笑いながら歩いていた男性だ。
茶色の長髪を後ろでくくり、人の良さそうな顔をしている。窓の方を指さし、なにかを言っているように見えた。だがイザークの反応がないことを悟ったのだろう。
長髪の彼が私に向かって、手を振った。
思わずクスリと笑ってしまう。
そして、一部始終を見ていたと思われる年配の男性が、ツカツカ前に出てきたと思ったら、長髪の彼の後ろ頭を叩いた。
そして勢いよく長髪の彼の頭を押し付け、深々と下げさせている。
これは謝罪のつもりなのかしら。
思わず声を出してコロコロと笑ってしまう。
「シャルロット様になんたる態度。失礼な」
ドリーはプリプリと怒ってはいたが、私は窘めた。
「平気よ。あの方、イザークが無視したから、きっと私をかわいそうに思って手を振ってくださったのよ」
「ですが侯爵令嬢、今では自分たちの主人の奥様に気安く手を振るなど……北部の礼儀はどうなっているのでしょうか。不安になります」
確かに南部にいた時では、こうやって手を振られるなど、経験したことがなかった。
北部は一度認めた相手なら、気安い付き合いをするのかしら。
「それに対して、イザーク・カロン侯爵の反応は無でしたね」
「ええ、そうだったわね」
「こんなにお美しく優しいシャルロット様を無下にする態度、信じられません」
ドリーは自分が無視されたわけじゃないのに、不機嫌になっている。
「私の代わりに怒ってくれてありがとう。長期戦だと思って挑むわ」
ドリーをなだめ、窓を閉めるように言った。
「それよりも、行きましょう」
「どこへ行かれるのですか?」
「もちろん、イザークの出迎えよ」
ドリーはムウッと頬を膨らませた。
「シャルロット様にあんなに素っ気ない態度を取るのに、出迎えだなんて……」
「まあ、まあ。疲れていたのかもしれないじゃない」
ドリーを引き連れて、階下に向かった。
彼らは馬から下りると城内に向かって歩いてきた。
十人ほどいるだろうか。皆背が高く、体格が良い。北部の人はたくましく、男女ともに背が高い印象を受けた。
それに比べて私の背はあまり伸びなかったわね……。
姉たちはスラリとしているが、私だけは低い背のままだった。
歩いている集団、その中でもひときわ目立つのがイザークだ。
銀髪に遠目でも整っているとわかる顔立ち。すらっと伸びた手足に厚い胸板。
隣にいる男性と仲が良いのか、談笑しているみたいだ。相手の胸を叩き、笑っている。
仲良くなると、あんな笑顔を見せるようになるのね。
昨夜の彼は眉をハの字にして困っているような顔か、眉をつり上げて怒っているかのどちらかだった。
笑顔は見ていない、まだ一度も。
私に対する態度も戸惑っているように見えたけど、警戒しているのだろうか。
窓辺からずっと見ていると、イザークとパチリと目が合った。
あ、気づかれてしまったわ。
どうすればいいのか迷ったが、にっこり微笑んで首を傾げた。
魔物の討伐隊の総指揮官として仕事をしてきたのだろう。労いの気持ちでゆっくりと手を振った。
イザークはその場でピタリと足を止めた。
反応するどころか遠目からでもわかるほど、険しい顔をしている。
そんなににらまれるなんて、手を振ったことを後悔した。
なれなれしくするな、って思っているのかしら。そうよね、部下の手前、気安い態度を取って図々しかったかしら。
足を止めて私をジッとにらむ姿は威嚇しているようだ。
オズオズと手を下げようとした時、イザークの隣を歩いていた男性が顔を上げ、私に気づいた。さきほどイザークと笑いながら歩いていた男性だ。
茶色の長髪を後ろでくくり、人の良さそうな顔をしている。窓の方を指さし、なにかを言っているように見えた。だがイザークの反応がないことを悟ったのだろう。
長髪の彼が私に向かって、手を振った。
思わずクスリと笑ってしまう。
そして、一部始終を見ていたと思われる年配の男性が、ツカツカ前に出てきたと思ったら、長髪の彼の後ろ頭を叩いた。
そして勢いよく長髪の彼の頭を押し付け、深々と下げさせている。
これは謝罪のつもりなのかしら。
思わず声を出してコロコロと笑ってしまう。
「シャルロット様になんたる態度。失礼な」
ドリーはプリプリと怒ってはいたが、私は窘めた。
「平気よ。あの方、イザークが無視したから、きっと私をかわいそうに思って手を振ってくださったのよ」
「ですが侯爵令嬢、今では自分たちの主人の奥様に気安く手を振るなど……北部の礼儀はどうなっているのでしょうか。不安になります」
確かに南部にいた時では、こうやって手を振られるなど、経験したことがなかった。
北部は一度認めた相手なら、気安い付き合いをするのかしら。
「それに対して、イザーク・カロン侯爵の反応は無でしたね」
「ええ、そうだったわね」
「こんなにお美しく優しいシャルロット様を無下にする態度、信じられません」
ドリーは自分が無視されたわけじゃないのに、不機嫌になっている。
「私の代わりに怒ってくれてありがとう。長期戦だと思って挑むわ」
ドリーをなだめ、窓を閉めるように言った。
「それよりも、行きましょう」
「どこへ行かれるのですか?」
「もちろん、イザークの出迎えよ」
ドリーはムウッと頬を膨らませた。
「シャルロット様にあんなに素っ気ない態度を取るのに、出迎えだなんて……」
「まあ、まあ。疲れていたのかもしれないじゃない」
ドリーを引き連れて、階下に向かった。