この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!
 イザークは一度だけギュッと目を閉じ、深く息を吐き出す。 
 
 すがるような眼差しを向けられ、混乱に陥った。

 確かに、最初の頃と比べたら、仲良くはなっていると思う。

 でも、もう私は南部に帰るつもりになっていて――。

「いきなり結婚を命じられた反発心もあり、自由になりたいと言ったが、一緒に過ごすうちに――」
「で、でも……」

 深く考え込む私を見て、イザークはギュッと唇をかみしめた。

「困らせてしまったな、すまない」
「いえ……そんな……」

 困っているのは事実なので、返す言葉が見つからない。

「もっと早く、気持ちを伝えるべきだったのに……。遅くなったから、こんなことになっているんだな。俺はシャルロットと最後まで添い遂げたいと思っている」

 胸がドキッとした。

 だけど――。

「頼むから、チャンスをくれないか?」

 イザークは真剣な眼差しを向けてくる。

「俺はあんたと向き合うのが遅かったと悔やんでいる。だから、このまま終わりたくない」
「イザーク……」
「あんたの中ではもう南部に帰る気持ちが固まっているかもしれない。だが俺は――」

 イザークに真剣な眼差しを向けられながらも、混乱は収まりそうになかった。
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