恋色ノート
とりあえずは、何も起こらなさそうで安心。
……だけどひとつだけ。
学校でのわたしと今のわたし、同一人物って気づいてくれたのは、ちょっとだけ嬉しい、かも。
クールでかっこいいって騒がれてる王子さまは、やっぱりちょっぴり掴めないけれど、意外とやっていけそう……!
もう一度、ちらりと視線を預けてみる。形の良いくちびるが、わたしへの言葉を用意していた。
「確実に、こっちの格好のほうがいいと思うんだけど」
「……っ!」
さっきみたいに淡く笑うから、藤沢くんになんの感情がなくてもきゅんってしてしまう。
クラスの女の子たちが騒ぐ理由、ちょっとだけわかったかも。
……いや、でもその女子たちの話では「藤沢南央は笑わないクール王子」とかじゃなかったっけ……。
ううん、いやさすがに、これから一緒に働く人にまでツンツンしてるわけにはいかないか。
わたしが近くにいたところでどうってことないし遠ざける必要もない。
だからこんなに笑ってくれるのかな。一人で納得して、解決して、すっきり。そうして照れを隠すように、わたしも言葉を探す。