こっちを向いて、ヴェルランド。
深夜の外は想像以上に冷え込み、リーリエの身体を切ない程冷やしていく。

助手席の窓には先程から冷たい雨が吹きつけ、いかに外が嵐であるかを物語っている。

「大丈夫か?」

「…」

アルベルトの問いかけにリーリエは黙り込む。

アルベルト・ハインリヒー。

彼の事はリーリエが捕虜として捕まった日から知っている。ゼロ部隊に所属するいわばエリートで、悪い人では無いがいい人でも無い。

「随分と嫌われたものだな…」

窓の外をずっと見つめたまま問いかけを無視するリーリエの様子に、アルベルトは困った様に眉根を下げる。

「でも先輩、良かったっスね。ヴェルランドに遭遇しなくて。余裕だったじゃ無いですか」

後部座席に腰掛けるリクは退屈そうに手元のトランプをシャッフルする。

「あぁ。一応はな。しかし奴を最も警戒する必要があるのは外に出た時だ」

「外?、それまた何で…」

「それは、これからわかる」

「は?」

リクがアルベルトの返答に眉根を顰めると、突然後方から何者かの狙撃を受けた。

「な、何だ!?」

突然のことに、リクは身を屈める。床に落ちたトランプ束にはご丁寧に穴が開いており、狙撃してきた相手の腕の良さを物語っている。

「リク、上だ!」

アルベルトの声にリクは天井を見上げる。豪鉄の天井には二つの凹みが現れ何者かがそこに降り立った様子が窺える。

「クソ!、驚かせやがって!」

リクは腰にぶら下げていた、変形式の刃を取り出すとそれを容赦なく天井へと叩きつける。しかし相手はそれを華麗に避けると再びリク目掛けてゼロ距離で発砲する。

「な?!マジかよコイツ!」

何とか銃弾を避けたリクは顔を青ざめる。後少し反応が遅れていたら即死だったに違いない。

「リク!相手はヴェルランドだ!奴は元ゼロ部隊のクイーンハウンド。油断するなよ!」

リーリエはその言葉に疑問符を浮かべる。男なのにクイーンとはどう言う事だろうか?

「中からじゃ狙いにくい!外に出ましょう!」

「駄目だ!これを止めれば奴の思う壺だ!」

「はあ!?何で!」

「奴は複数台ある我々の荷車の中からこれだけを襲撃している。それは何故かわかるか?」

「こんな時に質問しないで下さいよ!わかる訳ないでしょう!?」

ヴェルランドと何とか交戦しながら答えるリクの姿にアルベルトは分かりやすく顔を顰める。


「他の仲間は死んだってことだよ…」


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