こっちを向いて、ヴェルランド。
ⅩⅠ【少女の危うさ】

ヴェルランドが、宿を出てから数分が経った頃ー。唐突に部屋の扉が叩かれた。

「…?」

リーリエはその音に不思議そうに首を傾げる。すると、再び部屋の戸が叩かれる。

「ど、どちら様ですか…?」

「フロントの者だが、開けてくれないか?」

リーリエはその言葉に素直に従うと、部屋の扉を少しだけ開ける。

「どうかなさったんですか…?」

「あぁ、、、実は下の階の者から苦情を受けていてね…」

「苦情?」

「何でも水漏れしている箇所がある様だ。業者を呼んだから一度確認させてくれないか?」

「はぁ…。でも水漏れなんて…」

「いいから、開けろ!こっちは苦情で困ってんだ!」

男の大声にリーリエはピクリと肩を震わすと素直に扉のチェーンを外した。

フロントの男を含めた四人が部屋の中へと入室すると、最後に入ってきた男が扉の鍵をカチリと閉める。

「あ、あの…、何故鍵を?」

リーリエは不安そうに男たちに尋ねる。

「あぁ、そりゃあこれからやる事をバレない様にするためさ…」

男の一人が怪しく笑うと、それに釣られて三人も下品に笑って見せる。

「にしてもたまげたぜ…。これはかなりの上玉だな?ダグ」

一人の小柄な男が大柄の男に笑いかける。

「あぁ…、だろ?ネルのやつが紹介してくれる女は時々大当たりが居るんだよ…」

ダグと呼ばれた男はフロント係の男の肩を叩く。

「で、でも…大丈夫なのか?何でも強そうな男が一緒だって…」

今度はノッポの男が不安そうにネルに尋ねる。

「問題ねぇよ。あの男には遠くの花屋を紹介してやったからな…暫く戻ってこねぇって…」

ネルは下品そうな笑みを浮かべる。

リーリエはこの時初めて彼らが業者ではない事を悟ると一歩後ろへと後ずさる。

「さぁて、お嬢ちゃん。こっちへおいで。俺たちと遊ぼう」

ダグはリーリエに近づくと、その細い腕を力ずくに引っ張り上げる。

「痛いッ!!」

「大人しくしてたら痛くしねぇって。おらお前らも突っ立ってないで手伝え!」

成人男性の力に適う訳もなくリーリエはあっという間に、床へと押し倒されてしまう。

「や、やめて下さい!」

「大人しくしろ!」

必死に身じろぎして抵抗するが、男達はびくともしない。

「お願いです!」

「うるせぇ!黙ってろ!」

「嫌!やめて!」

服を剥がされ始めたその時だった。突然、目の前に馬乗りになっていた男が姿を消したー。
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