こっちを向いて、ヴェルランド。
ⅩⅡ【夜の街】
「見て下さい!あれは何かしら?」
夜の街に大はしゃぎするリーリエに、ヴェルランドは溜息を吐く。
「遊びに来たんじゃ無いんだぞ…」
「えぇ、わかってます!でも夜外出するのは初めてで!」
よくそんなんで、暗い夜道を逃げ出してきたものだとヴェルランドは眉を顰める。
「まずは食料だ。手軽なものにしておけ。色々とすぐに動け無くなるのはまずいからな、それにー」
「せっかくならあそこで食べたいわ!」
「お、おい…!」
一人走り出してしまったリーリエにヴェルランドは慌てて後を追う。
リーリエが駆けた先には、一つの洒落たBarがあった。
「私Barって初めて!さ、入りましょ?」
瞳を煌めかせながら、店に入ろうとするリーリエの腕をヴェルランドは慌てて掴む。
「何を考えてる!、観光に来ているわけでは無いんだぞ!」
ヴェルランドの忠告にリーリエはムッと顔を顰める。
「いいではないですか、せっかく外の街に来たのです。それにあんな汚い屋根裏部屋で食事なんて嫌です!」
流石はお姫様と言うべきか、ヴェルランドはリーリエの言い分にわかりやすく顔を顰める。
「お前は自分の立場というものをわかっていない様だな、こんなところで食事をしているところを見つかっては、また直ぐに追っ手がくる」
「その為の貴方でしょ?、それにどうせ最後の旅です。少しだけならいいではありませんか…」
リーリエの言葉にヴェルランドは黙り込む。
「少しだけ、ね?貴方も少しはお酒とか飲みたいでしょ?」
「任務中に酒は飲まない主義だ」
「もう!いいではないですか!本当に少しだけ!雰囲気を味わったら帰りますから!」
リーリエは必死にお願いをするとヴェルランドの腕を掴む。中々に強情な性格だ。
「…はぁ、では少しだけだぞ。酒を一杯飲んだら終わりだ」
ヴェルランドの言葉にリーリエはわかりやすく顔を煌めかせると、二人は洒落た店内へと足を踏み入れた。