雨の降る日はそばにいて

Episode.3 私

 マンションの五階にある私の部屋。

 その出窓の硝子に雨粒が弾けてステキな音を奏でている。
 雨音はとても心地良く、聴いていると深い眠りへと誘ってくれる。


 そう……、こんな雨の降る夜にだけ感じることがある。
 それは何時からだろう。もう覚えていない……。



 リビングで寝ている愛猫の隣にいる何かを感じたのは。



 私以外の人には懐かない臆病な愛猫。
 なのに、どうしてかその何かには怯えることもなく、甘えるように目を細めて宙を見つめている。


 しばらくすると私にもその何かが分かってきた。
 その何かの姿がうっすらと瞳に映し出されるようになったから。


 雨の降る夜にだけ訪れて、愛猫の隣に座って愛しそうにその身体を撫でているその何かを……。


 邪気も悪意なく、得体の知れないような雰囲気も全く感じられない。
 ただ、愛猫に会いに来ているだけ……。
 私の愛猫が愛しいだけだと。



 ねぇ、あなたは何者?
 どうして雨の降る夜にだけ訪れるの?



 尋ねたいことはたくさんあるけれど、今はもうどうでもいい。



 私もあなたが来るのが待ち遠しくなったから。
 あなたが来て、愛猫の嬉しそうな表情を見るのが楽しくなったから。


 
 雨の降る日はそばにいてあげて。
 雨の降る夜はあの()のそばにいてあげて。



 でも、ひとつだけお願いがあるの。



 ね、次の雨の降る夜は私の隣にも来て……。



 ねぇ……、雨の降る日はそばにいて……。
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