脱走ボーイ
Episode.1
ほら、いけないよ。触っちゃダメだからね。
ほらほら、危ないのよ。ケガしたらどうするの。お利口さんにしていてね。
こらっ、コードで遊んじゃいけないの。ビリビリってしちゃうよ! 何度言えば覚えるの?
あれもダメ。これもダメ。ぜーんぶダメ。
ダメダメダメしか言われない。
……毎日毎日、束縛ばかりで自由がない!
もっともっと色々なことをしてみたいのに。
もっともっと色々なもので遊んだり、お家の中を探索したり冒険をしてみたいのに。
いつもいつも見張られていて、好きに遊んだりすることが出来ない毎日にうんざりだ。
もう許さない……。
束縛は許されないことなのだ。
僕だって自由が欲しいんだ! 自由に生きたいんだ!!
よし決めた! 今、決めた!! 速攻で決めた!!
僕はここから脱走するのだ!!
そして自由になるのだー!!
……決行は明日の朝。皆が出勤前で慌ただしくしているときが狙い目だ。何しろ朝ごはんだ、着替えだ、お化粧だ、洗濯だなどと毎日うるさいくらいだ。
この慌ただしさに乗じて脱走するのだ。
どの瞬間を狙えばいいかな……。
そうだ! いちばん脇の甘いママが新聞を取りに行くときにしよう。
ママはいつも玄関のドアを少し開けて、その脇にある新聞受けから朝刊を抜き取っている。
そのときに開いているドアの隙間。
ママの目線が新聞受けに向いているときに足元からそっと抜け出せばいい。
うん、これはいい作戦だ。
必ず脱走を成功させてやる!!
*******************************************************
翌朝、満を持して脱走決行のときがきた。
ママ、パパ、お姉ちゃんの順に起きてきて、慌ただしいことこの上ない。洗面所やトイレの争奪戦が始まり、早くしないと電車に間に合わないだの、遅刻するだの、ほんとにやかましい。
僕みたいに早起きをして、ママから朝ごはんを出してもらって、優雅に専用のトイレで用を足せば何事も余裕なのに。
「おーい、ママ。新聞は?」
「あら、いけない。忘れていたわ。すぐに取りに行くから」
よしよしよしー。このときを昨夜から待ち焦がれていたんだ。
ぱたぱたと玄関に向かうママのあとにそっとついて行ってと……。
「ママー、ボーイがついて行ったから気を付けてねー」
ちっ、余計なことを……。
普段はぽやんとしているくせに、お姉ちゃんが僕の行動を監視していやがった。
「ボーイ、こっちに来ちゃダメよ」
ほら、まただ。
どうしてダメって言うの? 僕はもうその言葉にうんざりしているんだ。
なぜパパもママもお姉ちゃんも気が付いてくれないのかな。
ママのうしろで大人しく座っているフリをして……。
カチャリと鍵が開く。ママが一度、僕の様子を窺うように振り返る。
僕は小首を傾げ、何も考えていませんよ、と可愛いフリをして誤魔化す。
ママがそっと玄関の扉を開き、新聞に目を遣った。
今だ!! 僕は目いっぱい後ろ足に力を入れて駆け出した。
ほんの少し開いていた隙間を狙い、ママの足元をかいくぐって玄関の向こう側へと走り抜けた。
ほらほら、危ないのよ。ケガしたらどうするの。お利口さんにしていてね。
こらっ、コードで遊んじゃいけないの。ビリビリってしちゃうよ! 何度言えば覚えるの?
あれもダメ。これもダメ。ぜーんぶダメ。
ダメダメダメしか言われない。
……毎日毎日、束縛ばかりで自由がない!
もっともっと色々なことをしてみたいのに。
もっともっと色々なもので遊んだり、お家の中を探索したり冒険をしてみたいのに。
いつもいつも見張られていて、好きに遊んだりすることが出来ない毎日にうんざりだ。
もう許さない……。
束縛は許されないことなのだ。
僕だって自由が欲しいんだ! 自由に生きたいんだ!!
よし決めた! 今、決めた!! 速攻で決めた!!
僕はここから脱走するのだ!!
そして自由になるのだー!!
……決行は明日の朝。皆が出勤前で慌ただしくしているときが狙い目だ。何しろ朝ごはんだ、着替えだ、お化粧だ、洗濯だなどと毎日うるさいくらいだ。
この慌ただしさに乗じて脱走するのだ。
どの瞬間を狙えばいいかな……。
そうだ! いちばん脇の甘いママが新聞を取りに行くときにしよう。
ママはいつも玄関のドアを少し開けて、その脇にある新聞受けから朝刊を抜き取っている。
そのときに開いているドアの隙間。
ママの目線が新聞受けに向いているときに足元からそっと抜け出せばいい。
うん、これはいい作戦だ。
必ず脱走を成功させてやる!!
*******************************************************
翌朝、満を持して脱走決行のときがきた。
ママ、パパ、お姉ちゃんの順に起きてきて、慌ただしいことこの上ない。洗面所やトイレの争奪戦が始まり、早くしないと電車に間に合わないだの、遅刻するだの、ほんとにやかましい。
僕みたいに早起きをして、ママから朝ごはんを出してもらって、優雅に専用のトイレで用を足せば何事も余裕なのに。
「おーい、ママ。新聞は?」
「あら、いけない。忘れていたわ。すぐに取りに行くから」
よしよしよしー。このときを昨夜から待ち焦がれていたんだ。
ぱたぱたと玄関に向かうママのあとにそっとついて行ってと……。
「ママー、ボーイがついて行ったから気を付けてねー」
ちっ、余計なことを……。
普段はぽやんとしているくせに、お姉ちゃんが僕の行動を監視していやがった。
「ボーイ、こっちに来ちゃダメよ」
ほら、まただ。
どうしてダメって言うの? 僕はもうその言葉にうんざりしているんだ。
なぜパパもママもお姉ちゃんも気が付いてくれないのかな。
ママのうしろで大人しく座っているフリをして……。
カチャリと鍵が開く。ママが一度、僕の様子を窺うように振り返る。
僕は小首を傾げ、何も考えていませんよ、と可愛いフリをして誤魔化す。
ママがそっと玄関の扉を開き、新聞に目を遣った。
今だ!! 僕は目いっぱい後ろ足に力を入れて駆け出した。
ほんの少し開いていた隙間を狙い、ママの足元をかいくぐって玄関の向こう側へと走り抜けた。
< 1 / 4 >