浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません

第1章 裏切りの証拠

午後六時を過ぎた法律事務所は静かだった。

私は落ち着かない気持ちのまま、ソファに座っていた。

白を基調とした応接室は綺麗すぎるくらい整っていて、場違いなのは自分の方だと思ってしまう。

向かい側には、担当弁護士の日向敬先生。

黒髪を短く整えた、冷静そうな人だった。

銀縁眼鏡の奥の目は鋭いのに、不思議と威圧感はない。

スーツ姿も隙がなくて、“仕事ができる男”という言葉がそのまま似合う人だった。

私は指先をぎゅっと握り締める。

「……最近、彼氏の様子が変なんです」

口にした瞬間、自分が惨めに思えた。

恋人の浮気を疑って、弁護士事務所に来るなんて。

でも、日向先生は笑わなかった。

「具体的には?」

低く落ち着いた声だった。

私は唇を湿らせながら言葉を続ける。

「スマホも隠すように持ちますし……会っていても上の空なんです」
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