乙女ゲームの親友ポジに転生した天才チート系令嬢、ストーリーのそのあとの方が大変だった件

 ボブ・エリーのハーブ粉の思わぬ効果。
 実際、ハーブ粉を入れた方と入れなかった方の魔力含有量の差は明確。
 私もアルカも今日は大量の魔力を使用したから、魔力が含まれた料理を食べてあっという間に回復できた。
 めっちゃ助かる。
 全快したんじゃないだろうか?
 それに、他にも効果がありそう。
 ステーキを頬張ったアーカーの体が一瞬キラキラと輝いた。
 アーカーを[鑑定]すると、[物理攻撃力上昇中]と書いてある。
 これ……この料理、もしかして無料DLCアイテム……?
 アルカと一緒にDLC実装されたアイテム『バフ料理』。
 スマホ版にもミニゲームに成功するとバフがかかる『料理』があった。
 スマホ版の方は学園内の調理室で、主人公ルナーシャが貴族の食事が口に合わず……マナーが覚えられていなく、かつ貴族の嫌がらせに耐えられずに自分で食事を作って食べる、みたいな。
 そして仲良くなった攻略対象にも作ってあげるやつ。
 ゲームの中のバフ料理は、主人公の持つ『聖者の紋章』による聖魔力のバフだったけれど。
 でも、このハーブ粉を使えば主人公以外の人間でもバフ料理を作ることができるのか。
 他のハーブ粉を使った料理を食べてもらってその都度鑑定してみれば、やはりそれぞれ[魔力防御力上昇中]、[魔力自動回復効果付与中]、[移動速度上昇中]と色々な効果が[鑑定]に映る。
 一旦、ノートを取り出して料理と効果をメモメモ。

「これは、研究しがいがある……!」
「あちゃあ。なんかスイッチ入ったぁ」



 ◇◆◇◆◇



 それから日々は大忙し。
 村の再建のためにも、村に住人を求める。
 一度アガレスに保護された人たちの中で希望者を募り、入村してもらう。
 さすがに私たちとマイキーとナシュだけでは村として機能しない。
 この村の再建が成った場合は、それをモデルケースとして他の村や町にもデータを共有して再建に取り込んでもらうということで。

「村の建物はレイスが直したんだね」
「ええ、細かなところは素材不足で直せていないところもあるけれど。街道作りの続きもしたいけれど、素材が足りていないのよね。だからひとまずディブレ様に頼んだ『魔王汚染地域』の調査結果を待ちながら、石畳みの材料の岩を探しつつ、村の人が村に慣れてくれるまで様子を見ようかと」
「入植希望者っていつ来るの?」
「相乗り馬車でアガレスから十人の希望者がくるわ。五十代の子持ち夫婦と、老人が二人、若い女性が二人、だそうよ。普通の相乗り馬車だから、一日くらいかかるのかしら?」

 子持ち夫婦の子どもは二人だと聞いている。
 すでに成人しており、なにより魔族の平均寿命は五百年前後と言われているので、五十代はまだ若い。
 見た目も二十代前半ぐらいだそうだ。
 その子どもたちも親と遜色ない容姿。
 魔族、なにかがバグりそう。
 しかし、だからこそ老人二人はガチの老人。
 二人とも五百歳を超えているという。
 男性一人、女性一人。
 そして最後の若い女性二人。
 親に庇われて避難を優先されて生き延びたことから、かなり自罰的になっていると備考欄に書いてある。
 年齢は十代後半ってことなので、私やアルカと同年代。

「家はどこに住まわせるんだ?」
「入植希望者が自分で選べるようにしたの。ちなみに、元々この村に住んでいた住人にも声をかけたんだけれど、すでに新しい環境に慣れてしまったから戻る気はないという返答だったみたい」
「そうなのか。マイキーやナシュが寂しがっていたから、知り合いが一人でも戻ってきてくれたらと思ったんだがな」
「そうね」

 アルカの隣にきたアーカーが、私の手から入植希望者の名簿を覗き込む。
 ちなみにアーカーとエルワーズは今日から一度ディニーラに行って、ディブレに渡された支援希望物資や食糧をかき集めてもらう。
 目録を手渡して、アーレシュア王国の商会に交渉してもらうのだ。
 二人の体に溜まっている過度な魔力を抜くのも目的なので、まったりとしてもらう。

「入植希望者が来たらまずは畑を作ってもらわないとね。ふうふ老人の一人は農業経験者。男性老人は畜産をやっていたそうだから、家畜も買いつけないと。この国の家畜についてはよくわからないから、彼らが来たら聞いてみましょう」
「ところで、家畜を飼う財源ってどうするの?」
「雌雄を一頭ずつ飼って、繁殖させてもらうの。子どものうちに買えばそれなりに安いから。そのくらいなら私のポケットマネーから出せるわ」
「ああ、レイスの料理レシピ、高値で売れてたものね」

 その通り。
 前世の料理知識をもとに、王都の商会を通してレシピを売り捌いてぼろ儲けしていたのはなにを隠そうこの私!
 なんでかって言われれば“レイス・トゥワイエット”の両親を思い出していただければわかるだろう。
 ケチというより、無駄なことをしたがらないあの両親は、私に金をかけるのも“最低限”だった。
 どちらにしてもいずれ家から出るつもりだったので、自分の資金だけは確保しておきたかったのだ。
 まあ、それ以外にも魔王討伐の旅の最中に魔物の討伐依頼をこなしたり、採集をしたりして冒険者協会に素材を売って、こちらもボロ儲けしていたりしていなかったり。
 というわけで、私は自分でひと財産と言って差し支えない額を持っている。
 どこに、ってそりゃあ自分の[空間倉庫]の中に。
 他人には持っているかどうかすらわからないからね。

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