同じ家なのに君は遠い
玄関へ向かう背中。

その途中で、遥斗が少しだけ立ち止まる。

「傘、持ってけよ」

振り返らないまま、それだけ言った。

ドアが閉まる。

静かな家。

でも天音は、しばらく動けなかった。

(……気にしてくれた?)

いや、違う。

たぶん“同居人”として言っただけ。

そう思うのに、なぜか胸の奥が少し熱かった。
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