わたし、まだ話してる。
朝。

カーテンの隙間から、薄い光が入っていた。

彼はベッドに座ったまま、しばらく黙っていた。

私はぼんやり、その横顔を見ていた。

高い鼻。
少し眠そうな目。
無精髭の残る顎。

年上の男の人って、こういう顔するんだ、と思った。

彼は少しだけ緊張した顔で、

「俺の彼女になって」

と言った。

私は、一瞬息が止まった。

三年。

長かった。

私は小さく「うん」と頷いて、彼に抱きついた。

彼は少し笑って、ぎゅっと抱きしめ返した。

あの時の私は、本当に嬉しかった。

この人となら、ちゃんと幸せになれるかもしれない。

まだその時は、

“最後まで話を聞いてもらえない孤独”を、
私は知らなかった。
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