貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――
第2話 鬼課長は猫舌
翌朝、私はいつもより二十分早く出社した。
理由はもちろん、リュミエール案件の企画会議である。
昨日の夜、資料を読み込んだ。
売上推移、来店客アンケート、競合比較、店舗写真、過去のキャンペーン結果。
読んだ。
読んだのだが、読み込めば読み込むほど、胃の奥に小さな石が増えていくような気がした。
だって私は、営業推進部のアシスタントである。
資料を整える。
議事録を取る。
スケジュールを調整する。
会議室を予約する。
それが私の仕事だった。
それなのに今日から、会議の中に入る。
しかも、理由の一部は昨日、公園で榊課長に見られた私のネームである。
……ネーム。
思い出しただけで、机に額を打ちつけたくなる。
クールな上司風の男と、犬系後輩風の男。
近距離。
意味深な台詞。
そして、それを見下ろす榊課長。
脳内でその絵面を再生するたび、私は一秒ごとに社会的寿命を削られている気がした。
理由はもちろん、リュミエール案件の企画会議である。
昨日の夜、資料を読み込んだ。
売上推移、来店客アンケート、競合比較、店舗写真、過去のキャンペーン結果。
読んだ。
読んだのだが、読み込めば読み込むほど、胃の奥に小さな石が増えていくような気がした。
だって私は、営業推進部のアシスタントである。
資料を整える。
議事録を取る。
スケジュールを調整する。
会議室を予約する。
それが私の仕事だった。
それなのに今日から、会議の中に入る。
しかも、理由の一部は昨日、公園で榊課長に見られた私のネームである。
……ネーム。
思い出しただけで、机に額を打ちつけたくなる。
クールな上司風の男と、犬系後輩風の男。
近距離。
意味深な台詞。
そして、それを見下ろす榊課長。
脳内でその絵面を再生するたび、私は一秒ごとに社会的寿命を削られている気がした。