期間限定カノジョはお断りです!
でもそんなこと、もちろん言えるわけがない。

「紗奈」

不意に名前を呼ばれる。

顔を上げると、一ノ瀬がじっとこちらを見ていた。

「今日、昼一緒な」

「……へ?」

「彼女なのに別々にいたら不自然」

正論。

また正論。

ぐうの音も出ない。

「……わかった」

小さく答えると、一ノ瀬は満足そうに笑った。

その笑顔を見た瞬間。

――ちょっとだけ。

ほんのちょっとだけ。

“彼女役”も悪くないかも、なんて思ってしまった自分がいた。
< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop