トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
私は一気に恥ずかしくなって、慌てて視線を逸らした。

「い、いや……あの……」

頭が真っ白だ。

何言ってるの私。

完全に勢いだった。

感情のまま口走った。

もう今すぐ消えたい。

私は耐えきれなくなって、小さく呟く。

「……忘れてください」

すると。

「どうして?」

すぐ返ってきた声に、私は思わず顔を上げた。

優朔さんが、少しだけ意地悪そうに笑っている。

でもその目は、真剣だった。

私は言葉に詰まる。

「だって……」

「……簡単に言っていい相手じゃないから」

私はゆっくり俯いた。

分かってる。

トップアイドルと関わるって、どういうことか。

この1ヶ月で嫌というほど見た。

会いたくても会えない。

連絡一つでさえタイミングを気にする。

世間の目。

仕事の重さ。

普通の恋愛なんかじゃない。

紗凪と陽貴さんを見てたからこそ、痛いほど分かる。

だから。

こんな勢いで気持ち伝えていい相手じゃなかった。

私はぎゅっと手を握る。

「……ごめんなさい」

「今の、忘れて——」

最後まで言えなかった。

突然。

もう一度、優朔さんが私をぎゅっと抱きしめたから。

「……っ」

驚いて息が止まる。

さっきより、少し強い腕。

優朔さんの心臓の音が近い。

私は完全に固まってしまう。

すると耳元で。

優朔さんが、小さく笑った。

「梓ちゃん」

低くて優しい声。

「そういうのはさ」

少し間を置く。

それから。

「男の僕から言わせてほしいな」

その言葉に、胸が大きく跳ねた。

私はゆっくり目を見開く。

優朔さんは、抱きしめたまま静かに続ける。

「……僕も好きだよ」

「ずっと」

「梓ちゃんが好きだったんだ」

冗談なんかじゃないって分かる声。

私は息を呑む。

優朔さんが少しだけ苦笑する。

「正直、ダメだと思ってた」

「こんなタイミングで気持ち気づくのも」

「梓ちゃんに惹かれてくのも」

「全部」

その声が、少し苦しそうだった。

でも抱きしめる腕は、優しくて。、

「でももう無理だった」

「今日、梓ちゃん泣いてるの見て」

「抱きしめた瞬間」

「……離したくないって思った」

その言葉に。

胸が、ぎゅうっと苦しくなる。

嬉しくて。

信じられなくて。

涙がまた滲む。

優朔さんはそんな私に気づいて、小さく笑った。

「また泣く」

「……だって」

声が震える。

すると優朔さんが、優しく髪を撫でた。

「これからは、ちゃんと頼って」

「一人で抱え込まないで」

その言葉に。

私は優朔さんの服を、ぎゅっと握りしめた。

今だけは。

少しだけ甘えてもいい気がした。
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