トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
修了認定の日。

講義室には、少し特別な空気が流れていた。

みんなスーツ姿。

いつものスクラブじゃない。

それだけで、なんだか卒業式みたいだった。

前へ並べられた認定証。

名前を呼ばれ。

一人ずつ受け取っていく。

認定証を受け取った瞬間。

泣き出す子もいた。

「絶対忘れません」

「大阪来てよかったです」

「また一緒に飛びたいです」

そんな声が、あちこちで聞こえる。

私はその光景を見ながら、静かに思っていた。

——みんな、本当に頑張った。

事故があって。

止まった時間もあった。

でもその間も、プロジェクトは進み続けていた。

神波さんも。

斉賀さんも。

森崎さんも。

みんな、それぞれの場所で支えてくれていた。

だから今、ここに立てている。

そして。

最後に。

私たち指導者側へも、認定証が渡された。

“フライトナース育成指導者資格”

自分の名前が書かれた認定証。

それを受け取った瞬間。

私は少しだけ、息を止めた。

——生きて、ここまで来たんだ。

事故直後。

ICUで目覚めたあの日。

もう戻れないかもしれないって、本気で思ってた。

でも今。

私はまた、フライトスーツを着て。

こうして現場へ立っている。

その事実が、胸いっぱいに広がっていく。

「……一ノ瀬さん」

横を見ると、斉賀さんが笑っていた。

「お疲れさまでした」

私は少し笑う。

「まだ終わった感じしないですけどね」

すると後ろから。

「いやぁでも、ようここまで来ましたわ」

森崎さんの声。

振り返る。

その顔は、どこか穏やかだった。

いつもみたいにふざけているのに。

でも。

その目だけは、少しだけ優しかった。
< 213 / 242 >

この作品をシェア

pagetop