トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
病院正面玄関。

黒い帽子にマスク姿。

それでも隠しきれないオーラ。

壁にもたれながら待っていた陽貴くんが、私を見つけた瞬間ふっと笑う。

「お疲れ、紗凪」

その声だけで。

張り詰めていたものが、全部ほどけていく。

「……陽貴くん」

近づくと、陽貴くんが自然に私のバッグを持つ。

「今日やばかった顔してる」

さすが…鋭い。

「フライト5件飛んだの」

「頑張りすぎ」

そう言いながら、ぽんっと頭を撫でられる。

その手が優しくて、なんかずるい。

「陽貴くんこそ今日リハだったんでしょ」

「うん。朝からずっと」

「ちゃんと休んでる?」

「紗凪がいないから無理」

思わず笑ってしまう。

「こっち」

さらっと言いながら、陽貴くんが私の手を引いた。

夜の駐車場。

人が少ないのを確認してから、ふっと距離を縮めてくる。

「……会いたかった」

低い声。

耳元で囁かれて、一気に心臓がうるさくなる。

「っ、近い」

「何。嫌?」

「嫌じゃないけど……」

言い終わる前に、陽貴くんが満足そうに笑った。

「はい、今日はお持ち帰りしまーす」

ぎゅーっと抱きしめられる。

「……もうっ」

「紗凪ちゃんの負けでーす」

外では完璧王子様なのに、私の前だとちょっと…いや、かなり意地悪。

しかも楽しそう。
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