トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
その夜は、いつも以上に静かな時間だった。

テレビもつけず。

お互い、ただ隣にいる。

それだけで満たされていた。

ソファで寄り添ったまま、陽貴くんが私の髪をゆっくり撫でる。

その手が優しくて、温かくて。

胸の奥がじんわり熱くなる。

「……眠そう」

耳元で落ちた声に、私は小さく笑った。

「少し」

「今日はいっぱい頑張ったもんね」

そう言いながら、陽貴くんが額へそっとキスを落とす。

柔らかい感触。

近い体温。

その全部が愛おしい。

私は自然と陽貴くんへ身体を寄せた。

するとすぐに、包み込むみたいに抱きしめられる。

「……離れたくないな」

ぽつりと零れた声。

きっと、お互い同じ気持ちだった。

私は陽貴くんの胸へ頬を寄せる。

「半年だけだよ」

「分かってる」

「でも寂しい」

「……うん」

素直にそう言ってくれるから、余計に胸が締めつけられる。

陽貴くんは少しだけ身体を離すと、私を見つめた。

その目が優しすぎて、また泣きそうになる。

「紗凪」

「ん?」

「向こう行っても、ちゃんと俺のこと好きでいてね」

少しだけ不安そうな声。

「あたりまえでしょ」

私は思わず笑ってしまった。

「……俺もちゃんと頑張るから」

静かな声でそう言った。

ドラマ。

撮影。

忙しい毎日。

それでも、私を想ってくれてる。

支えようとしてくれてる。

そのことが嬉しくて、胸がいっぱいになる。

私はそっと陽貴くんの頬へ触れた。

「帰ってきたら、いっぱい褒めてね」

そう言うと。

陽貴くんがふっと笑う。

「毎日褒めて離れない」

またそういうことを言う。

私は少し照れながら、陽貴くんへ寄りかかった。

それから二人でベッドへ入る。

いつもみたいに。

でも、いつもより少しだけ強く抱きしめられた。

まるで離したくないって伝えるみたいに。

私は陽貴くんの胸へ顔を埋める。

規則正しい鼓動。

安心する匂い。

背中へ回された腕の温もり。

全部が愛しかった。

「おやすみ、紗凪」

優しい声。

私は目を閉じながら、小さく笑う。

「……おやすみ、陽貴くん」

離れる前夜。

寂しさは消えない。

それでも。

愛されてるって、ちゃんと分かるから。

不安よりも、温かさを感じながら眠れた。

その夜は。

確かに愛を感じながら、眠りについた。
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