月下ノ姫
3章 傷だらけの居場所
放課後

夕焼けが、 校舎を赤く染めていた

教室にはもうほとんど人がいない

海未は窓側の席で、 ぼんやり外を眺めていた

流生「海未、一緒帰ろーぜ!」

流生が鞄を肩に掛けながら笑う

海未「……先帰ってて」

流生「え?」

海未「少し残る」

その声に、 流生は何か察したように黙る

流生「……分かった。無理すんなよ」

海未は小さく頷いた

教室から人が消える

静寂

海未はゆっくり息を吐いた

そして、 袖を少し捲る

白い肌に残る、 薄い痣

消えかけても、 完全には消えない傷

海未はそれを見つめながら、 小さく目を伏せた

──コンコン

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