月下ノ姫
海未はゆっくり歩き出す

その瞬間、 伊織が腕を掴んだ

海未「……伊織?」

伊織「行くな」

低い声

珍しく、 感情が露骨に滲んでいた

海未「月詠の総長が逃げるわけない」

伊織「違う」

海未「?」

伊織は海未を真っ直ぐ見つめる

その目は、 怖いくらい真剣だった

伊織「……お前が傷付くのが嫌だ」

一瞬

海未の呼吸が止まる

流生たちも黙る

伊織は基本、 感情を表に出さない

だけど海未関連だけは違う

隠せない

抑えられない

海未は少しだけ目を逸らした

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