月下ノ姫
13章 お前だけは失いたくない
夜風が、 静かに吹き抜ける

繁華街の喧騒も、 今は遠かった

海未は動けないまま、 伊織を見つめていた

好き

その言葉が、 頭の中で何度も響く

海未「……好き」

小さく呟く

まるで、 知らない言葉を確かめるみたいに

伊織「……あぁ」

海未「私、よく分かんない」

正直な言葉だった

恋愛なんて知らない

愛され方なんて、 もっと知らない

だけど

伊織が傷付いた時、 怖かった

失うかもしれないと思った瞬間、 胸が潰れそうだった

海未「でも……」

海未はゆっくり伊織の服を掴む

海未「伊織が傷付くの、嫌」

伊織の目が揺れる

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