天平恋詠~極道のお嬢が奈良時代に転生~病弱皇子を守って、この国、あたしが変えてみせます!
第8話 お相手は未来の王
父・不比等《ふひと》が静かに続けた。
「相手は――首《おびと》皇子だ」
…………。
え?
おびちゃん?
いや。
首皇子《おびとおうじ》!?
思わず顔を上げた。
病弱で、線が細くて。
でも誰より優しくて。
本が好きで。
穏やかで。
あたしが転生してからも、何度か顔を合わせている。
宮子《みやこ》さまのもとへ通うたび、ふらりと現れては、本の話をしたり。
あたしの変な話にも、静かに笑ったり。
熱を出して寝込んでいた時もあった。
細い肩。
白い指。
笑っていても、どこか儚《はかな》い人。
(……おびちゃんか)
胸が少しだけざわついた。
母・橘三千代《たちばなのみちよ》が、やさしく微笑む。
「宮子さまも、お前を好いてくださっています。あなたが来るようになってから、笑顔が増えたと」
その言葉に、胸が少し温かくなった。
すると。
宇合《うまかい》が、にやっと笑った。
「姉上、知らねえの?」
「……何が?」
「おびちゃん、姉上が来る日は、めちゃくちゃ機嫌いいぞ」
「え?」
「宮子さまのところに行くって聞くと、先回りしてるしな」
房前《ふささき》が、静かに続ける。
「本を読むふりをしながら、ずっと待っている」
――え。
ちょっと待って。
それって。
「……たまたまでしょ?」
「いや?」
宇合が笑う。
「完全に姉上狙い」
「相手は――首《おびと》皇子だ」
…………。
え?
おびちゃん?
いや。
首皇子《おびとおうじ》!?
思わず顔を上げた。
病弱で、線が細くて。
でも誰より優しくて。
本が好きで。
穏やかで。
あたしが転生してからも、何度か顔を合わせている。
宮子《みやこ》さまのもとへ通うたび、ふらりと現れては、本の話をしたり。
あたしの変な話にも、静かに笑ったり。
熱を出して寝込んでいた時もあった。
細い肩。
白い指。
笑っていても、どこか儚《はかな》い人。
(……おびちゃんか)
胸が少しだけざわついた。
母・橘三千代《たちばなのみちよ》が、やさしく微笑む。
「宮子さまも、お前を好いてくださっています。あなたが来るようになってから、笑顔が増えたと」
その言葉に、胸が少し温かくなった。
すると。
宇合《うまかい》が、にやっと笑った。
「姉上、知らねえの?」
「……何が?」
「おびちゃん、姉上が来る日は、めちゃくちゃ機嫌いいぞ」
「え?」
「宮子さまのところに行くって聞くと、先回りしてるしな」
房前《ふささき》が、静かに続ける。
「本を読むふりをしながら、ずっと待っている」
――え。
ちょっと待って。
それって。
「……たまたまでしょ?」
「いや?」
宇合が笑う。
「完全に姉上狙い」