君の言葉で夢を見たい
『あ、あの……たお、たおるをいちこ……あっ、いっこ、ください』
韓国人が話す日本語特有のそのイントネーションのかわいらしさに、思わず口元が緩みそうになるのをぐっと律する。
――わざわざ電話のために日本語を調べたんだろうか。
一生懸命にこちらの言葉を使おうとしてくれているような懸命さが、受話器越しにじんわりと伝わってきた。
だから私は聞き取りやすいようにゆっくりと、簡単な言葉を選んで続ける。
「かしこまりました。ハンドタオルとバスタオル、どちらになさいますか?」
そう言うと、受話器の向こうから、小さく息を吸い込む音がわずかに聞こえた。
『あっ……ええと、あの……』
彼が戸惑っているのが電話越しでも伝わってくる。
……わかるよ。
日本語の敬語表現って回りくどいよね。
そんなことを考えながら私はすぐに英語で言い直す。
「Would you like a hand towel or a bath towel?《ハンドタオルとバスタオル、どちらになさいますか?》」
私の英語を聞いた瞬間、電話の主はほっと息をついた。