この恋愛、口外禁止

初恋

 「ねぇ、優華って好きな人とかいるの?」
 
 昼食中、談笑の合間に投げかけられた。質問者は、姫路雪野。ツヤツヤ髪のCMに出れそうな黒髪ロングに、目鼻立ちのはっきりした小さな顔。おまけにスラっとした細長い足。モデル雑誌の表紙に飾られても遜色のない彼女は、私の小学校からの幼馴染。

 「いや〜いないよ。男子って全員貧弱だし?」
 ついこの間までの私なら、心の底からこの言葉を雪野に伝えられたと思う。今は、少しだけ、少しだけだけど気になる男子がいます。

 「宮間! 購買行こうぜ〜」

 ふいにその名前が耳に飛び込んできて、振り返る。
 頭がツンツンと尖ったムードメーカー島田が、宮間清太の肩を掴んで廊下に引きずり出していた。
 宮間清太。クラスだけに収まらず、学年、学校の垣根を超えて女子に愛される男子。無造作に思えるが、意外と整えられた髪に、スポーツで鍛えられた身体。他の男子よりも頭一個分は大きい身長。そして大事なのが、多くの女子を虜にした真っ白で小さな顔である。絵本から出てきたと錯覚する彼に私は好意を抱いています。

 「宮間くんとかどうなの、優華」
 「え! なにが?」
 「いや、優華でも好きになったりするのかな? って」

 そりゃ私だって女の子だし、好きになる男子よ一人や二人はいる。そのどれもが友情としてだっただけなのだ。

 「いやないない」

 雪野の隣に座る女子、雫と私の席に座る女子、鈴葉から否定された。

 「優華は軟弱な男子には興味ないの。可能性があるとしたら、柔道の金メダリストぐらい」
 「私をなんだと思ってるんだ」

 雫のボケかどうかわからないものにツッコミを入れる。しかし、これが私のクラスでの見解と言って良いだろう。私は、ガサツで女の色気を持たない女子。そんな私が彼を好きになったのは一週間前の出来事である。
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