翡翠の一輪花と、若頭【完】
EP.7 その先へ


「あ、葵………」

「ん?」


「は、離れて……っ…」

「無理。」



彼の腕の中からすり抜けようと、必死に身をよじってみる。けれど────。

「逃げんなよ」


そんな抵抗は虚しく、甘い囁きが鼓膜を揺らし……腰にまわる手にグッと力が入った。



「お前は………俺の、だろ?」



さっきよりもさらに近づく距離。


"距離"なんていう概念が無いんじゃないかってほど密着する葵に、私は内心ドキドキする胸を隠すのに必死だった。




この様子じゃ、今やこんなに甘い声を出している葵が、数日前までは"冷徹"で知られていた最強若頭なんて……想像も出来ない。







(────顔、絶対赤いだろうな。)



抵抗するのをあきらめ、素直に身を任せた私の頭を、葵の大きな手が優しく包み込む。


細いく角張った指先が、愛おしそうに私の髪をさらさらと梳いていく。

────その心地よさに身を任せ、私はそっと瞳を閉じた。






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