劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜
マシューの口からため息が出た。



体育館に入ると、演劇部はステージの上に立って練習をしているところだった。演じているのは「ロミオとジュリエット」だ。まるで本番のように全員衣装を着ている。

(あっ、フレイヤ先輩)

マシューの胸が高鳴った。フレイヤは花のコサージュが華やかさを添えているピンクと白のロングドレスを着ていた。まるで童話に登場するお姫様そのものである。マシューが彼女に見惚れていると、フレイヤはその視線に気付いたのかマシューの方を向く。そして、ウインクしながら口をパクパクと動かした。

『演劇部へようこそ』

マシューの胸がさらに高鳴っていく。顔中に熱が集まった。そんな中、劇は進んでいく。ロミオとジュリエットがバルコニー越しに会話をしている有名なシーンだ。

「ロミオ。あなたはどうしてロミオなの?」

ジュリエットを演じるフレイヤは、切なげな表情を浮かべる。普段の天真爛漫な彼女とは雰囲気が全く違う。マシューはフレイヤから目を離せなかった。
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