劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜
「バウッ!!」

一頭の犬がマシューの足に噛み付いた。足に激痛が走り、マシューの口から悲鳴が出る。

「やめて!!痛い!!」

犬はマシューの足に噛み付いたまま走り出す。マシューはぬかるんだ地面を引き摺られていった。

「よ〜し!今日のマシュー狩りは俺の勝ちだ。パット、約束通りジュース奢れよ」

泥だらけになったマシューを見て、嬉しそうに笑いながら一人の少年が近付いてくる。癖のある栗色の髪に緑の目の少年だ。少年が犬に嬉しそうに触れると、犬は黒い塵となって消えてしまう。もう一頭の犬も塵になった。

「……最悪。私が負けるなんて。あんたももっと真剣に逃げなさいよね」

少年の隣に少女が並ぶ。彼女は地面に寝転がったままのマシューを睨み付けた。マシューが何も言えずにいると、彼女が履いているヒールの靴がマシューの腹部を蹴り上げた。

「ッ!」

マシューの腹部に強烈な痛みが走り、彼は体をくの字に曲げる。目の前が涙でぼやけた。少女は、マシューに絶対零度の視線を送る。

「いつまで寝てんのよ。汚いわね」
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