炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~
第4話 なれなかったヒーロー
土曜日。
私は渡辺くんの家に誘われた。
もちろん、男子の家に行くのは初めてなわけで、すごく緊張する。
渡辺くんの部屋は、不思議なくらい静かだった。
配信用のライト。
テーブルの上に雑につまれたエナジードリンク。
きっと撮影に使ったであろう小物などが散らばっていて、お世辞にも綺麗な部屋だとは言えなかった。
「その辺に適当に座ってて。何か飲み物とってくるから」
部屋に案内するや否やまた部屋から出ていく渡辺くん。
そ、その辺にって言われても……。
初めて来る人の部屋はなんだか落ち着かなくて、座っていられない。
一人残された部屋を、私はそっと見回した。
この部屋で、渡辺くんは毎日過ごしているんだよね?
どんなことをしているんだろう。
……気になる。
勉強机で勉強してるのかな。
それとも、今エナジードリンクが置いてある、このテーブルかな。
私の配信はどうやって見ていたんだろう。
あのベットに寝転がって、とかかな……。
『こいつのこと泣かせて楽しい?』
あの渡辺くんの表情が忘れられない。
いつになく怒っていたし、それに少し悔しそうにも見えた。
渡辺くんは、どうして人気のない私の配信を見つけて見てくれていたんだろう。
それがなければ、渡辺くんとの接点なんてなかったし、こうやって彼の部屋にいることだってなかったんだよね。
「座っててって言ったのに」
飲み物の入ったグラスを2つ持った渡辺くんが困ったように眉を垂らした。
「初めてだから、なんだか緊張して」
「え、なに?俺と密室二人っきりで嬉しいって?」
どこをどう聞いたらそう言う解釈になるの?
「冗談だって。俺ん家さ、麦茶しかないんだけどいい?」
「ありがとう」
「ここ、座って」
テーブルの上にグラスを置くと、中の氷がカランと音を立てた。
「少しは落ち着いた?」