炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~

最終章 キミとなら最悪でもいい


「……終わったね」

私が言うと、渡辺くんは小さく笑ってコメント欄を眺めていた。

『なんか、思ってたより普通の高校生だった』
『炎上代行って、悪いだけじゃなかったんだな』
『助けられてた子、確かにいるかもね』

もちろん否定するコメントもあるけど、最初と明らかに違うのは、叩くだけの言葉じゃなくなったってこと。

渡辺くんが伝えたかったこと、ちゃんと届いてるよ。

「すごくいい終わり方だったと思う」

「まぁ、絶賛炎上中だけどな」

肩をすくめた渡辺くんだったけど、その表情はどこかスッキリしている。

「朝比奈の最後の笑顔、よかったよ。最初の配信のあの覇気のない感じ、完全に消えたな」

渡辺くんに言われて恥ずかしくて、顔を伏せた。

確かに前の自分は、嫌われないために無理やり笑顔を作って、当たり障りないことを言って、見えない誰かの操り人形みたいだった。

でも、今は違う。

泣きたい時は泣いて、怖い時は怖いと言って、笑う時は、心から笑顔になれるようになった。

「渡辺くんがいたから」

「……朝比奈」

「渡辺くんが、私を笑顔にさせてくれたんだよ。ありがとう」

渡辺くんは微笑んで、私の頭を優しく撫でてくれる。

その間も、コメントがたくさん届いていた。

『私も、炎上代行さんに救われたことあります』
『助けてくれてありがとう』
『嫌われても、生きてていいんだって思えました』

炎上代行が、全部間違いだったわけじゃない。

こうやって、会ったこともないたくさんの人の心を救えた。

炎上代行は、立派なヒーローだ。

「なぁ」

「うん?」

「俺、おまえと配信するの、めっちゃ楽しかった」

ドクンっ。

心臓が跳ねる。

「炎上代行は終わったけどさ、配信とか関係なく、これからも俺のそばにいてくれるか?」

「そ、それって……」

私の頬も、渡辺くんの頬も赤く染まっていく。

< 26 / 27 >

この作品をシェア

pagetop