炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~
最終章 キミとなら最悪でもいい
「……終わったね」
私が言うと、渡辺くんは小さく笑ってコメント欄を眺めていた。
『なんか、思ってたより普通の高校生だった』
『炎上代行って、悪いだけじゃなかったんだな』
『助けられてた子、確かにいるかもね』
もちろん否定するコメントもあるけど、最初と明らかに違うのは、叩くだけの言葉じゃなくなったってこと。
渡辺くんが伝えたかったこと、ちゃんと届いてるよ。
「すごくいい終わり方だったと思う」
「まぁ、絶賛炎上中だけどな」
肩をすくめた渡辺くんだったけど、その表情はどこかスッキリしている。
「朝比奈の最後の笑顔、よかったよ。最初の配信のあの覇気のない感じ、完全に消えたな」
渡辺くんに言われて恥ずかしくて、顔を伏せた。
確かに前の自分は、嫌われないために無理やり笑顔を作って、当たり障りないことを言って、見えない誰かの操り人形みたいだった。
でも、今は違う。
泣きたい時は泣いて、怖い時は怖いと言って、笑う時は、心から笑顔になれるようになった。
「渡辺くんがいたから」
「……朝比奈」
「渡辺くんが、私を笑顔にさせてくれたんだよ。ありがとう」
渡辺くんは微笑んで、私の頭を優しく撫でてくれる。
その間も、コメントがたくさん届いていた。
『私も、炎上代行さんに救われたことあります』
『助けてくれてありがとう』
『嫌われても、生きてていいんだって思えました』
炎上代行が、全部間違いだったわけじゃない。
こうやって、会ったこともないたくさんの人の心を救えた。
炎上代行は、立派なヒーローだ。
「なぁ」
「うん?」
「俺、おまえと配信するの、めっちゃ楽しかった」
ドクンっ。
心臓が跳ねる。
「炎上代行は終わったけどさ、配信とか関係なく、これからも俺のそばにいてくれるか?」
「そ、それって……」
私の頬も、渡辺くんの頬も赤く染まっていく。