逃げられるものならお好きにどうぞ。
ショッピングと贈り物
バーで美代さんと黒瀬くんと買い物に行く約束をしてから、早数日。
とうとう週末がやってきた。
待ち合わせ場所であるショッピングモールの最寄駅に向かえば、そこにはすでに黒瀬くんと美代さんの姿があった。
だけどそこにもう一人、人陰が見える。――あれは。
「百合子さん、おはよう」
「おはよう、黒瀬くん。ねぇ、あの人って……」
私の到着にいち早く気づいた黒瀬くんが駆け寄ってきた。
私の視線の先に気づいたようで「あぁ」と頷く。
「皇さんは俺が呼んだんだよ。ちょうど予定も入ってないって言ってたし、どうせなら本人に直接好みを聞いた方が早いと思って」
浮かんだ疑問は、黒瀬くんによってすぐに払拭された。
美代さんと皇さんのもとに歩み寄れば、私の存在を目に留めた皇さんが、その瞳をほんの僅かに見開く。
「アンタは、この間の……」
「あの、この間は色々とご迷惑をお掛けしました。改めまして、香月百合子といいます」
頭を下げれば、皇さんは「そんなに畏まらなくていい」と私に顔を上げるよう促した。