逃げられるものならお好きにどうぞ。

全部全部、君だから。理由はそれだけで十分で。



「ねぇ、例の彼氏くんとは上手くいってるの?」



トマトクリームのパスタをフォークにクルクル巻きつけながらも、三奈の視線は器用にもまっすぐ私に向けられている。


今は昼休憩中で、二人で昼食をとっているところだ。


瞳を輝かせている彼女は、自分が話すことはもちろん、人の恋愛話を聞くことも好きなのだ。

パスタを巻き付けたフォークはそのままに、期待に満ちたまなざしで私の答えを待っている。



「うん、まぁ。……というか、やっぱりパスタも美味しそうだね。次は私もパスタにしようかなぁ」



私はきのこのクリームパスタと迷って、最終的にはオムライスを注文した。

だけどやっぱり、パスタも美味しそうだ。艶々のオレンジ色のソースに目を奪われる。


そんな私の返答に、何故か三奈は不満そうに頬をふくらませている。

< 215 / 494 >

この作品をシェア

pagetop