逃げられるものならお好きにどうぞ。
「あの時の男の子、黒瀬くんだったんだね」
「……うん、そうだよ。思い出してくれたんだ」
黒瀬くんは過去に思いを馳せるように、懐かしそうに目を細める。
「正直、暗かったし黒瀬くんもフードをかぶってたから、顔とかはあんまり覚えてなかったんだけど……声をかけたら、すっごく不審そうな目で見られたってことだけは、よく覚えてるよ」
――それに、何かに絶望したような、全てを諦めてしまったような目をしていたことも、はっきりと思い出せる。