逃げられるものならお好きにどうぞ。


***


「……ん、此処は……」

「お姉さん、目が覚めた?」



目を覚まして最初に感じたのは、酷い頭痛。

そして聞こえてきたのは、耳馴染みのいい男の子の声だった。



こめかみのあたりを抑えながら身体を起こす。ズキズキと鈍い痛みを訴えているこれは、飲み過ぎたのが原因だろう。

お酒はそこまで強くないから、外ではあまり飲まないように普段はセーブしているのに……。



「はい、これ水ね」



視線を上げれば、上半身は裸で、首にタオルをかけている男の子がミネラルウォーターを手渡してくれた。

視線はベッドの上に落としたままお礼を言って受け取り、中身の三分の一程を一気に飲み干す。



落ち着いて周りを見渡せば、此処はどこかのビジネスホテルのようだ。


ハッとして自身の身体を確認するけれど、特に衣服が乱れた形跡はない。とりあえず間違いを起こしたりはしていないようだ。

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