逃げられるものならお好きにどうぞ。
「ふふ、それは秘密。でも、私のイメージ通り……名前通りの人みたいね。歩く姿は百合の花、なんて言葉もあるもの。とっても可愛らしい方だわ」
「いえ、そんな……」
謙遜しながらも、合わせていた視線をさり気なく逸らしてしまった。褒められているはずなのに、憂美さんの声にどこか棘を感じるような気がして……無意識に身が竦んでしまう。
すると、憂美さんは私の耳元に顔を近づけてきた。
美代さんたちには聞こえないくらいの小さな声で、囁かれる。
「ねぇ百合子さん。黒い百合の花言葉って、知ってるかしら?」
「え? ……いえ、知らないです」
「そう。……貴女が彼にとっての、呪いにならなきゃいいけれど」
「え、っと……」
それはどういう意味か、尋ねようとした。
しかしそのタイミングで、皇さんに肩を引き寄せられ、憂美さんから離される。